2021-08-20

EU:ポラロイドのフォトフレームは商標として識別力があるか? - Knijff Trademark Attorneys

撮影した写真を瞬時にプリントアウトするカメラがある。これはもちろん、ポラロイド社のインスタントカメラのことである。このカメラは世界的に有名だ。カメラから出てくる写真の形状は万人が認識できるものだが、これは商標として機能するのだろうか。EUでフォトフレームの形状(図下)が図形商標として登録された。

ところが、あるドイツ人がこの図形商標の有効性について争った。彼の主張は、この図形商標は単純な幾何学的図形で構成されており、識別性に欠けるというものだ。そのドイツ人は、このフレームが第三者によって一般的に使用されていることを示すいくつかの証拠とポラロイド社から富士フイルム社へ送られたこの商標の使用停止通告書を提出した。

商標権者であるPLR IP Holdings(ポラロイド社の親会社)は、富士フイルム社の違法行為を非難した。このドイツ人は、おそらく富士フイルム社の仲介者でこの商標を無効にすることに関心があったのだろう。

EUIPO(欧州連合知的財産庁)が注目するのは法的な争いだけあり、誰が取消請求を起こしたかではない。EUIPOは、次の2つの質問に答えなければならない。1つ目は、この図形商標は普通にあるもので識別力を欠いているのか?そして、2つ目の質問は、1つ目の質問の答えが肯定的である場合、商標が使用により識別力を獲得したかどうかだ。

1番目の質問に対して、EUIPOは肯定的な回答をした。商標は、企業の商品・サービスを識別できるものでなければならない。非常に単純な形状からなる商標は、記憶に残るメッセージを消費者に伝えることができない。したがって、この図形商標には識別力がないと判断した。

次に、使用により識別力を獲得したかどうかだ。結局のところ、ポラロイドは世界的に有名なカメラであり、ポラロイド社は、これを示す広範囲な証拠(市場調査を含む)を提出した。しかし、EUIPOの審査は厳しく、証拠はほとんどがこのフレームに入っている写真に基づいたものなのに対して、図形商標はフレームそのもので中は白い。また、商標は商品写真について登録されたものではなく、市場調査には色の付いた質問が含まれていた。結論として、後天的な識別力もないとして、ポラロイド社はフォトフレームに関する商標権を失うことになった。

本文は こちら (Photoframe Polaroid distinctive trademark?)