2021-08-17

EU:缶を開ける音「カチッ、プシュッ」は音商標として機能するか? - Knijff Trademark Attorneys

「食品に音響効果を与えるサウンドエンジニアの仕事」ということを聞いたことがあるだろうか?あまり馴染みがないかもしれないが、効果音はCMや映画で使われている。そして今、その音響効果がEUの一般裁判所で裁かれることになった。

事件は、欧州連合商標として一連の音の登録が申請されたもので、缶を開ける音、1秒間の沈黙、そして缶を開けた後に聞こえる9秒間の発泡音からなる発泡性飲料の音だ。  

カチッ、無音、プシュッ……。

EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、「カチッ、無音、プシュッ……」には識別力がないとし、この商標の登録を拒絶した。消費者は、一連の音を出所表示としてではなく、商品の特徴を示すものと認識すると判断された。

音商標の登録基準
一見して、それほど驚くべき査定ではない。審判部も査定を維持した。しかし、この音商標の出願人は決定を不服とし、EU一般裁判所に上訴した。商標法の観点から見ると、今回の一般裁判所の判決は、いくつかの興味深い視点を提供し、音商標の登録基準を明確にした。これは、MP3形式で出願された音商標に関するEU初の判決となった。

トブラローネ(TOBLERONE)チョコレートバーのような立体商標とは異なり、音商標は、商品の外観や形状とは無関係に識別される商標である。そのため、形状商標の標準的な基準(普通のものと違っているか)は、一般的に音商標には適用されない。異なることは識別性を意味しない。 

認知
音商標は、関連する消費者によって、単に曲や音としてではなく商標として認識されなければならない。そうであって初めて、消費者は、カチッ、無音、プシュッなどのように、単に製品の機能的要素としてではなく、出所表示として認識できることになり、裁判所の言葉を借りれば、「メッセージのない表示」となる。 

しかし、単なる音、メロディ、曲と音商標の境界線はどこにあるのだろうか?何が商標として登録されるのだろうか?残念ながら一概には言えず、予測が難しい。例えば、Netflixの「Da Dum」は拒絶されたが、LGの洗濯機が準備完了で流すメロディは、音商標として認められ登録された。音商標の登録は、慎重なプロセスであり、サウンドエンジニアリング、戦略、手続き上の実績、最新の判例に関する知識すべてが成功の鍵となる。

本文は こちら (Pshhh… How does a drink sound?)