2021-10-12

韓国:特許法院「アシックスコリアが使用したNOVAK表示は出所表示とはいえない」 - Kim & Chang

世界的なテニス選手ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)の氏名である「NOVAK」を使用してテニスシューズを販売したとしても、「NOVAK(右文字)」商標権に対する侵害とは認められないという特許法院の判決が出された。

株式会社アシックスコリア(以下「アシックス社」)はノバク・ジョコビッチ選手とコラボレーション契約を締結し、自社のテニスシューズの製品名などに「GEL-RESOLUTION 7 NOVAK」、「COURT FF NOVAK」、「COURT FF NOVAK CLAY」等のようにノバク・ジョコビッチ選手の名前である「ノバク(NOVAK)」を使用してきたが、これに対し「NOVAK」の韓国商標権者でありスポーツ用品製造販売業者である原告は2019年8月、アシックス社を相手取り商標権侵害に基づく損害賠償請求訴訟を提起した。特許法院はアシックス社の「NOVAK(右文字)」表示は出所表示として使用されたのではなく、混同のおそれもないため商標権侵害ではないとの趣旨で判断し、原告は特許法院判決に対し上告したものの棄却され特許法院判決が確定した。

具体的に、一審であるソウル中央地方法院は、①ノバク・ジョコビッチは非常に長い間プロテニス協会世界ランキングで1位の座にあった有名テニス選手として、このような知名度を基に2001年から現在までスポーツファッション用品関連企業だけでなく、ファッション・時計/ジュエリー・自動車など様々な産業分野の多様な企業とも自身の肖像権・氏名権に関する権利を付与するコラボレーションまたはパートナーシップ契約を締結してきた点、②アシックス社のテニスシューズ広告物には製品写真、製品名と共にノバク・ジョコビッチの競技場面、ノバク・ジョコビッチが本件被告製品を手にして立っている場面などが配置され、これを見る一般需要者としてはノバク・ジョコビッチと被告との関係が本件被告製品の広報のための関係であることを容易に確認できる点、③アシックス社商品に関する詳細情報に、「世界的な選手ノバク・ジョコビッチとコラボレーション作業をしたリミテッドエディション商品です」のように、製品名に付記された「NOVAK」がノバク・ジョコビッチを表示したものであることを説明している点、④アシックス社は有名スポーツ用品ブランドで、アシックス社製品には固有のブランド表示(右下ロゴ)であるのような表示がされているため、一般需要者としては当該製品がアシックス社によって生産された物品であることを容易に確認できる点などに照らし、アシックス社製品名に含まれた「NOVAK」は有名スポーツ選手とスポーツ用品企業等とのコラボレーション契約などにより、当該選手の氏名を使用できるようにするマーケティング方式の一環とみられるだけで、アシックス社製品の出所表示のためのものではないと判断される」と判示した。

さらに控訴審である特許法院も一審判決の内容をそのまま認容し、アシックス社製品名に原告登録商標と同一・類似の「NOVAK」が表示されたとしても、アシックス社製品名に含まれた「NOVAK」は商標の使用と認識されるとはいいがたく、原告の登録商標権を侵害した行為とは認められないと判断した。
 
本事件での争点の核心は、「NOVAK」表示が出所表示ではない説明的表示であると認められるか否かであったが、既存の商標権侵害訴訟で“商標としての使用ではないと認められた”事例が多くなく、特に「コラボレーション契約に基づく著名人の氏名の使用が商標的使用か否か」に関する先例がない状況のなか、アシックス社が「NOVAK」表示を単にノバク・ジョコビッチ選手とのコラボレーションによるリミテッドエディション製品であることを表すための説明的文句として使用したという点を証明しなければならなかった。これについて代理人である当所は①ノバク・ジョコビッチ選手の著名性を立証する証拠、②ノバク・ジョコビッチ選手が様々な企業とコラボレーション契約を結んでおり、当該企業らもアシックス社と同じように「NOVAK」表示を説明的文句として使用しているという証拠、③アシックス社が「NOVAK」表示製品を広告するに際してはノバク・ジョコビッチ選手の写真と共にアシックス社の周知の別途ブランド表示も使用してきたという証拠などを効果的に整理および提示し、本事案と“商標としての使用ではないと認められた”既存の判例との精密な対比・分析等を通してアシックス社の勝訴を導き出すことに成功した。
 
本件は国内外にてほぼ先例のなかった「コラボレーション契約に基づく著名人の氏名の使用が商標的使用か否か」に関するリーディングケースを作ったという点で大きな意義があるといえる。