新型コロナウイルスのパンデミックの中、インドネシアの知的財産電子出願システムは重要な役割を果たてきた。機能の充実により、知的財産総局(DGIP)における様々な種類の知的財産権の申請がオンラインで受け付けられるようになり、国内の知的財産活動に非常に良い影響を与えた歓迎すべき一歩となった。
商標出願
商標出願の電子出願システムは、誤訳のリスクを最小限に抑えるため、商品・サービスのリストが英語とインドネシア語で掲載されている。しかし、商品・サービスのリストは随時変更されるので、予告なく商品・サービスの削除や文言の変更が行われることも少なくない。指定する商品・サービスがリストになくても、Madrid List of Goods and Servicesに記載されていれば、出願時に追加申請することができる。但し、申請手続きに時間がかかり、リストが確定しないと出願日が決まらないことがある。また、申請が自動的に分類担当者に転送されないこともあり、その場合はDGIPのカスタマーサービス部門に申請する必要がある。
電子出願システムに関するその他の問題
出願後、エラーにより受領書がダウンロードできないことがあり、その場合カスタマーサービスに相談する必要がある。
出願関連の通知書はすべて電子的に発行されるが、通知書が発行された日に電子出願システムにアップロードされるとは限らないため、電子出願システムで表示される通知書の日付が実際の通知書の日付よりも遅くなることがある。
また、電子出願システムから発行される登録証明書には、出願申請と同じ順番で商品・サービスが記載されているとは限らない。この場合、変更請求の提出が唯一の救済策となる。
電子出願システムにおける申請状況は、常に最新の状態とは限らないことにも留意する必要がある。
アクセスが集中すると、何時間もシステムにアクセスできなくなり、カスタマーサービスへの連絡も難しいことがある。また、質問用のライブチャット機能は、しばしば遅延することもあり、応答がないこともある。
まとめ
インドネシアの電子出願システムへの移行は、知的財産権の管理に柔軟性と利便性をもたらし、特にパンデミック中に自宅で仕事をする知的財産コンサルタントにとっては、非常に大きなメリットとなった。このオンラインシステムは、インドネシアにおける知的財産権保護のための手続きを大幅に近代化し、パンデミック発生後に追加・改良された機能により、このシステムはDGIPが権利者や出願人とやり取りする上で不可欠なものとなった。しかしながら、電子出願システムの初期段階からの出願データの多くは、まだ現在のシステムに追加されていない。これらデータの統合により電子出願システムはさらに利便性が増し、DGIPは、明らかになった様々な課題や欠陥に対応することで、インドネシアにおける知的財産権の手続きに最も重要なツールとして電子出願システムの実用性を高めていくだろう。
本文は こちら (A Look at Indonesia’s E-Filing System for Patents, Designs, and Trademarks)