商標の使用証拠を提出しなければならないケースは、多くの場合不意に訪れる。過去に使用したことを示す必要があるため、企業が慌てさせられることになりかねない。また、適切な証拠を提出しないと、問題の解決に壊滅的な影響を及ぼす可能性もある。ここでは、Vanessa Harrowが準備の重要性を説明し、ベストプラクティスを解説する。
商標権は、ブランドオーナーが使用証拠を示すことができない場合、取消の請求対象となる可能性がある。しかし、企業が商標の使用を立証することを求められるのは、取消請求の対応だけではない。使用証拠が必要とされるものには以下のケースも考えられる。
* 使用により獲得した識別力を示すことで、記述性/非識別性商標の拒絶理由を克服するため
* 使用が登録要件となっている場合(例:米国)、登録を確保・維持するため
* 第三者による不使用取消請求の抗弁のため
* 使用が要求されている登録商標の権利に頼ることができるようにするため
* 使用によって得られた未登録商標の権利を行使するため
証拠は、商品・サービスに関連して関連する地域での商標の使用を示すもので、必要な期間をカバーするものでなければならない。必要な期間は状況によって異なるが、現時点での使用を示す証拠、過去3~5年以内の使用を示す証拠、さらには商標の最初の使用までさかのぼる証拠などが含まれる。
準備を怠ると失敗する
商標に関する使用証拠を収集する必要性は、ブランドのプロモーション期間中には考慮されないことがよくある。そして、おそらく2か月程度という短い期間で商標の過去の使用を示す証拠を収集しなければならないという窮地に突然立たされた場合、混乱してしまうかもしれない。適切な証拠を提出しなかったことで、勝てるはずの係争に敗れる可能性があるからだ。
最適な証拠とは?
どのような種類の証拠を提出する必要があるかは、最終的には係争によるが、一般的には、以下のものが使用証拠として非常に役に立つ。
* 商標が商品にエンボス加工、印刷、転写、またはその他の方法で付されてことを示す写真
* ラベル/タグ(日付の入ったデザイン画や写真で証明するのが望ましい)
* 包装・保管・輸送用の箱(日付の入ったデザイン画や写真で証明するのが望ましい)。
* カタログ、チラシ、価格表など
* 会社の文房具(外部で共有している場合)
* 請求書
* ポスター/表示装置(日付の入ったデザイン画や写真で証明するのが望ましい)
* 展示スタンドなどの写真
* 独立した報道機関の出版物/第三者の解説書
* 広告(印刷物、オンライン、テレビなどを含む)からの抜粋
* 商標の付された車など会社の所有する資産の写真
* ウェブサイトからの抜粋
証拠収集:ベスト・プラクティス
商標の使用を示す資料を保管してほしい。最も強力な証拠は日付が入ったもので、使用した国が明確であることが理想的だ。
証拠を評価し保管する際には、以下の点を考慮してほしい。
* 商標を表示しているか?
* 使用がどのような商品・サービスに関連しているか、証拠から明らかになっているか。(そうでない場合は、この情報を同時にメモしてほしい)
* 証拠には日付が入っているか?(そうでない場合には、この情報を同時にメモしてほしい)
* 証拠には場所が示されているか。(そうでない場合は、この情報を同時にメモしてほしい)
* 証拠には、機密にすべき情報が含まれているか? そうであれば、証拠を編集できるか。
毎年、使用証拠を収集し、安全に保管しておけば、使用証拠が必要になったときに、最良のものを提示できるよう豊富な資料を手元に置いておくことができる。