文字、図形、色彩は、ブランドオーナーが通常保護したいと考える要素の例だ。しかし、商標登録においては、ほとんどの場合、特定の要素が他の要素よりも優位性を持つことがある。つまり、保護範囲において要部が優位性を持つことを意味している。例えば、ロゴで図形要素が目立っていない文字を思い浮かべてほしい。この場合、要部は文字であり、図形要素はより弱い保護しか受けられない。
他の要素も保護したい場合はどうすればよいだろうか。意匠での保護も可能だが、保護を受けるためには新規性が要求される。そして、この新規性が障害となることも少なくない。また、個々の要素を商標として登録することも可能だ(文字を含まないロゴとして)。その場合、これらの要素はそれ自体で識別力がなくてはならない。
最近、取消請求の対象となったチキータ(Chiquita:米国におけるバナナの大手販売業者)のロゴはその好例である。ロゴ全体を評価すると、文字とバナナを頭に乗せた女性が要部だ。もし、同様の図形(文字は異なる)を使用している競合他社を攻撃する際の成功確率を上げるために背景の図形を保護したいのであれば、図形だけを別途登録する必要がある。これはまさにチキータが行ったことである。
この図形に識別力はあるだろうか?もし識別力がないなら、この図形は使用を通じて識別力を獲得していなければならない。これらの疑問は、最近の取消請求で争われた:取消請求人は、この図形は市場で非常に一般的なものであると主張し、類似する図形の例を列挙した。EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、この図形は単純な図形要素で構成されており、識別性を欠くものと結論付けた。
チキータはあきらめず、この図形は識別力を獲得していると主張した。しかし、EUIPOは、使用されているのはロゴ全体であり、文字「Chiquita(チキータ)」と女性のない図形だけのロゴは使用されていないとし、この図形が識別力を獲得したとする理由はないとの判断を示した。
結局、この登録は取消され、バナナで滑ったのはチキータとなった。