2022-02-22

フランス:あなたの商標の護り方、「希釈化」を防ぐには! - Knijff Trademark Attorneys

時として、商標権侵害に関する紛争の75%は飲料品ブランドによるものであるかのように思われている(残りの殆どは衣料品ブランドによるものだ)。

確かに、お酒と紛争は相性が良いように思えるが、それだけでは説明がつかない。このような現象は、市場に出回っている飲料品ブランドの種類も数量もめまぐるしく変化に富んでいるからだろうか。それとも、飲料品ブランドの多くが、侵害者が好んで模倣したくなるような強いアイデンティティを育んでいるからだろうか。あるいは、この種の商標権を侵害することで、多くの利益を得ることができるというのが本当の理由だろうか。

商標権を侵害して儲けるということは、シャンパンにまつわる数々の事件において、その一端を担っている可能性はあるが、必ずしもそれだけとは限らない。最近の地ビールをめぐる紛争は悪意があるかどうかの問題ではないようだ。

1,000本のビール
ブルターニュの年金生活者フィリップ・ルソーは、職人的な技法で月に1,000本のビールを醸造することを夢見ていた。彼の夢は、ブルターニュ、つまりアステリックス(紀元前50年頃古代ヨーロッパのガリア北西部の架空の小さな村を舞台にしたフランスコミック)時代でいうところのアルモリカ(古代ガリアの一部地域の名称)にある自宅の小屋でビールを醸造し、販売することだった。

フィリップ・ルソーは、生まれ故郷のランレフ村を流れる川の名前をとって、自分の醸造所を「Brasserie Artisanal du Leff」と名づけた。これが、ベルギーに本拠を置く世界最大のビール醸造グループであるアンハイザー・ブッシュ・インベブ(AB InBev)の怒りを買ってしまった。

インベブ社はビールブランド「Leffe」のオーナーである。1240年、ノートルダム・ド・レフ修道院で修道士たちが醸造したのが「Leffe」の始まりだった。現在、「Leffe」ビールはフランス国内だけで年間約150万ヘクトリットル(1ヘクトリットルは100リットル)が生産されている。

奇想天外な話
「奇想天外な話じゃないか」とフィリップ・ルソーは考えた。そうかもしれない。しかし、一方でインベブ社はどうすればよかったのだろう?

インベブ社は、当然のことながら商標保護には積極的である。地ビール醸造会社は、フランスで「Leff」の商標登録を申請したが、インベブ社のブランドコンサルタントによって気付かれ、インベブ社に異議を申立てられた。

これが商標を保護する方法だ。もしあなたの商標と類似するビールブランドが商標登録やマーケットで溢れるような状態を許せば、その商標は、あっという間に「希釈化」し、あなたの商標は無価値になってしまうのだ。だから、これは他人ごとではなく、ビジネスの問題なのだ。

自社の商標を効果的に保護することに興味があるのなら、ブランドコンサルタントの協力を求めてみたらどうだろう。

本文は こちら (Does Leff resemble Leffe?)