2022-02-08

EU:ルイス・ハミルトン、商標紛争でも敗北 - Knijff Trademark Attorneys

2021年のF1レースで敗北したルイス・ハミルトンには、休養が必要だったのかもしれない。しかし、彼にとっては残念なことに別の敗北が目前に迫っていた。ハミルトンが宝飾品、時計及びこれらの小売について出願(2015年)した欧州商標「LEWIS HAMILTON(ルイス・ハミルトン)」に対して申立てられた異議により、EUIPO(欧州連合知的財産庁)に登録を拒絶されたのだ。スイスの時計会社スウォッチ・グループの子会社であるハミルトン社が異議申立てを行ったのが2015年であることから、当事者間の交渉が長期化したことがうかがえるが、結局、和解には至らなかったのだろう。 

ハミルトン社は当該商標の登録をすでに複数回行っており、これに対してルイス・ハミルトンが2回目の出願が単に不使用取消しを避けるためだけの目的で出されたのではないか、悪意はないのかという疑問を提示した。最近、反復出願は監視の的となっており、より厳しく評価されるようになってきている。EUIPOは、2回目の出願商標の記載がより包括的であり、悪意を疑われるような事情は生じていないとの判断を示し、さらに、これは異議申立事件ではなく、「HAMILTON」商標に対する別件の取消事件であるとした。

もう一つの論点は、「LEWIS HAMILTON」というのは、どの程度有名なのか、ということである。ルイス・ハミルトンによれば、彼の名前は非常に有名で、消費者はこれらの商品から他のブランドではなく、レーシングドライバーを直接連想すると主張し、このことが、観念的な違いを生んでいるのではないかということが審理された。ルイス・ハミルトンは、Massi/Messi事件で司法裁判所が出した判決に言及した。同裁判所は、メッシが非常に有名であるという事実が観念的な差異を生み出し、したがって、「Massi」と「Messi」のブランドの間には類似性がないとの判決を下していた。 

しかし、EUIPOは、ルイス・ハミルトンには同意しなかった。F1はサッカーほど人気がなく、さらに、メッシのケースは衣料品に関するものであり、サッカーとサッカーシャツの間には論理的なつながりがあるが、F1と時計の間にはないとの判断を示した。

結局、ルイス・ハミルトンには世界チャンピオンのタイトルもヨーロッパの商標も失ったが、彼にとっては新しい年が始まり、2021年を過去にできるのだ。

本文は こちら (Yet another defeat for Lewis Hamilton)