2022-03-04

英国:類似するイモムシケーキ、コリンとカスバートが仲直り - Knijff Trademark Attorneys

「The Very Hungry Caterpillar:はらぺこあおむし(米国の絵本作家エリック・カールが1969年に出版した幼児向け絵本)」は、コリンとカスバート、そして彼らの姪っ子や甥っ子たちと同じものではない。濃厚なバタークリーム、周りの厚いチョコの層、そしてさらにその上にチョコレートが乗っているチョコレートのロールケーキを想像してほしい。これは、英国のスーパーマーケットのお菓子・ケーキ売り場で育ったそんな風に見えるイモムシ(Caterpillar)だ。

この愛すべきイモムシは、何十年の間お菓子に囲まれて暮らしているのだ。名前からして、みんな親戚みたいだ。英国の小売業者Marks & SpencerのColin the Caterpillar(イモムシのコリン)、ドイツに基盤を置くディスカウントストアAldiのCuthbert the Caterpillar(イモムシのカスバート)、英国に本拠を置く小売業Tesco’sのCurly the Caterpillar(イモムシのカーリー)、英国のスーパーマーケットSainsburyのWiggles the Caterpillar(イモムシのコロコロ)、英国の小売業者AsdaのClyde the caterpillar(イモムシのクライド)、英国のスーパーマーケットWaitroseのCecil the Caterpillar(イモムシのセシル)、英国の食料品小売りチェーンMorrisonのMorris the Caterpillar(イモムシのモリス)などで、これでもほんの一部だ。

家族
もちろん家族はよく似ているもので、通常似ているからと言って不満や対立の原因にはならない。特にイモムシの家族では…。残念ながら、ケーキのイモムシについてはそうではなかった。

2021年4月、Aldiは、Marks & Spencerの弁護士から警告書を受け取った。Aldiの「イモムシのカスバート」がMarks & Spencerの「イモムシのコリン」に似ているため、同社の著作権や商標権を侵害するとのことであった。Aldiは、他のイモムシのお菓子をよく見て、ツイッターのハッシュタグ#freecuthbertを立ち上げ、ケーキ戦争が始まった。

Marks & Spencerは、英国の高等法院で訴訟を起こした。Aldiは、この争いにユーモアを交えて、別のアプローチを試みた。「これはただの裁判ではない、これは…#freecuthbertだ」と、Marks & Spencerの有名なスローガン「これはただの食べ物ではない…(This is not just food…)」と茶化し、獄中のカスバートや「ばかな人のための特許、著作権、商標(Patents, Copyrights & Trademarks for Dummies)」と書かれた看板を持ったカスバートなどのインターネット・ミームを続々と投稿した。あっという間にツイッターでトレンド入りし、多くのリアクションや新しい動画やミームが生み出された。  

仲直り
一時は姿を消したカスバートだが、ほどなくして限定版として再び店頭に並ぶようになった。さなぎになったわけはないが、どこか違って見えた。目は茶色ではなく、ホワイトチョコレートになっていた。そして、この売上は慈善団体に寄付されることになった。弁護士のためではなく、チャリティーのためにお金を集めよう、コリンとカスバートは仲良しになれないの?」とAldiがMarks & Spencerにツイートした。

弁護士からさらに多くの手紙が届いた。そして、沈黙が突然訪れた。どうやら、両者は和解したようだ。和解の内容は明らかになっていないが、Marks & Spencerの広報担当者は、「非常に満足している」と述べている。Aldiの回答は、「カスバートは自由になり、ファンのみんなにもうすぐ再開できるのを楽しみにしている」という、ちょっと変わったトーンのものであった。

本文は こちら (The Caterpillar Daily: Colin & Cuthbert make peace)