2022-03-23

EU:商標法の世界でフランケンシュタイン化するとは? - Knijff Trademark Attorneys

商標法では、時々、新しい用語が登場する。通常は「ホログラム商標」や「香りの商標」のようなあまり刺激的ではない用語だが、たまに「フランケンシュタイン(Frankenstein)」のような神秘的で興味をそそられるものに出会うことがある。この用語は、最近、オランダのヘルダーラント(Gelderland)裁判所で初めて使用された。

To Frankenstein(フランケンシュタイン化する)は動詞で、商標法以外でも、電気を流すと復活するもの、というような意味で使われているようだ。「ちょっと待てよ、俺の携帯はバッテリーが空だ、フランケンシュタイン化して復活させるしかない」。確かに、とても便利な表現だ。商標法の世界では、この動詞は、中古の部品を組み合わせ、電気を流して「生命」を与えるというイギリスの小説家、メアリー・シェリーの小説「フランケンシュタイン」に由来している。

フランケンシュタイン化は、正当化されることもあれば、正当化されないこともある。ヘルダーラント裁判所の判決は、2つのIT企業、製造業者と中間業者との間の紛争に関するものであった。製造業者は、中間業者が侵害を構成する並行輸入を行ったと主張した。つまり、商標権者である製造業者が保護対象であるEU/EEA市場の外で以前に販売したブランド製品を輸入したというものだ。

不正に輸入された部品を使用して製造業者の販売するサーバーを改造したことは、ブランド製品の無許可フランケンシュタイン化にあたる。製造業者は、「並行輸入で不正に入手したサーバーの新品・中古部品を使用せず、元のシリアルナンバーをそのまま残すことを条件に、例えばストレージ容量を追加するなど、実際によくあるサーバーの改造には異存はない」と述べている。

従って、商標権を侵害するような不正に部品を入手したら、許可されたフランケンシュタイン化も許可されないフランケンシュタイン化になる。

フランケンシュタイン化とは不思議な言葉だが、魅力的な言葉でもある。また、商標に関連する他の問題にも、許可されたものか否かにかかわらず、きわめてよく当てはまる言葉だ。最近、フェラーリに関する事例がいくつかあり、その1つは、スペアパーツを利用して「ありふれた」フェラーリをフランケンシュタイン化して、より刺激的な型に変身させたものであり、ブランドドリンクをフランケンシュタイン化してミックスドリンクにした例もある。また、ファッションデザイナーのデュラン ランティンク(Duran Lantink)は、大手ブランドの売れ残った服を分解し、フランケンシュタイン化して新しい服に仕立てた例もある。
このような興味深い言葉は、これからも残っていくことを期待したい。

本文は こちら (Playing Frankenstein with trademark law)