2022-05-17

韓国の商標審査処理に1年以上の長期化傾向 - Kim & Chang

 最近韓国では、商標出願件数の増加に伴い、韓国特許庁の審査滞積による国内商標出願の審査処理期間の長期化が生じている。
2019年は約6.5か月、2020年は約8.7か月であった審査期間が、現在は(当所の実務経験上)約12~14か月ほどを要する傾向をみせており、これは2020年から国内の商標出願件数が増加するとともに、COVID-19の対応策として実施された指定期間の職権延長などの制度による審査滞積が重なり、審査に要する期間が長引いているものと考えられる。

 韓国の場合、日本と異なり、出願商標が実体審査を通過しても出願公告日から2か月間の異議申立期間が与えられ、その後登録決定までにはさらに約1か月を要する。そして商標出願が拒絶されれば、該当拒絶理由克服手続きに追加で約4ヶ月の期間が必要となる。
したがって最近の傾向からみると、商標出願後、拒絶や異議申立がなくても商標登録まで約15~17か月がかかる計算となり、日本に比べ長期間を要する傾向にあるといえる。
 
 当分のあいだは韓国特許庁のこのような審査所要期間に大きな変化はないと思われ、したがって韓国における商標登録予想時点と関連して何らかの支障が生じることが憂慮される場合であれば、日本の早期審査制度に該当する「優先審査申請制度」を積極的に活用することをお勧めする。
優先審査申請が認められると、優先審査申請日から約2~3か月で審査結果が出されるため、出願と同時に優先審査申請を行う場合であれば半年以内に登録可否決定を受け取ることができる。ただし、国際登録商標出願は優先審査申請の対象ではない点に注意が必要である(最近の実務経験上、マドリッド出願の場合、審査所要期間は国際登録日から約12~16ヶ月)。