最近、商標登録は投資家にとって貴重な指標となり得るとの研究結果が発表された。
研究によると、1年間に登録した商標数に基づいて企業を比較して、総資産に対する商標登録数が多い企業は、商標登録に積極的でない企業より次年度の株式評価額が前年度を上回る傾向が見られるという。この研究結果は「Management Science」で発表され、一見平凡な公開データを賢く分析することで、投資の優位性を見出すことができる可能性を示唆している。
この研究で、中国清華大学のPo-Hsuan Hsu、サウスカロライナ大学のDongmei Li、香港理工大学のQin Li、UCLA アンダーソン・スクール・オブ・マネージメントのSiew Hong Teoh、国立台湾大学のKevin Tsengは、米国特許商標庁の商標登録簿のデータベースから、新規の商標登録数が上場企業の株式評価に与える予測価値を評価し、総資産に対してより多くの商標を登録する企業は、将来の利益が著しく高くなると結論付けた。
商標の強度
研究者たちは、米国における1976年から2014年までの305,422件の商標登録に注目した。そして、各企業の「商標強度」(暦年の商標登録の年間件数を前年度末の総資産で割った比率)を調査した。
次に、商標強度指標で株式リターンを予測できるかどうかを確認するため、過去1年間の商標の強度が上位3分の1にランクされた企業と下位3分の1にランクされた企業の株式を購入する仮想のポートフォリオを作成した。
研究者たちは、1977年から2015年の期間において、商標強度が上位にランクされた企業をロングポジションに、下位にランクされた企業をショートポジションとするロング・ショート取引戦略を用いることで、商標登録の有無にかかわらず、同様のリスクプロファイルを持つ株式で取引されるポートフォリオのリターンよりも約7.8%高い年間平均リターンが得られたことを明らかにした。
この優位性は、高強度ランクと低強度ランクに属する企業が変わっても、長期にわたって持続した。この研究で、ある企業の商標強度が下位3分の1から上位3分の1に上昇すると、その翌年の総資産利益率と自己資本利益率がそれぞれ1.88%と5.08%上昇することを明らかにした。