2022-07-07

インド:デリー高裁、POLOの商標に似せた著作物の登録を取消す - R. K. Dewan & Co.

 ラルフローレンコーポレーション(以下「Polo」)は、有名なアメリカン・トラディショナルの世界的リーダーで、Poloは1967年から「POLO SPORT」の商標権者であり、インドでも商標登録され、2011年には著名商標として認定されている。Poloはまた、馬に乗ったポロ選手がスティックを振り上げている図形商標も所有している。Poloは、香水事業を行っているSandeep Arora氏(以下、アローラ氏)が登録した「芸術作品」の著作物を発見した。Poloは、アローラ氏が「Polo」と「Sport」という単語を丸ごと流用していることから、アローラ氏の登録ロゴがポロの商標といくつか類似していることに注目した。アローラ氏のロゴの特徴は、ポロ競技をする4頭の馬に乗る騎手が描かれている点で、Poloの商標には、ポロ競技をする1頭の馬と騎手が描かれている。 

 そこで、Poloはデリー高等裁判所に提訴し、「SPORTS POLO」と記載のある著作物の登録取消を求めた。
Poloは、有名なPoloブランドを認識するPoloの登録商標に手を加えることによって、アローラ氏がPoloの文学的・芸術的著作権を侵害したと主張した。さらにPoloは、標章の唯一の識別要素である4頭の馬と騎手は、独創的な芸術作品とはいえないと主張した。これに対し、アローラ氏は、自身の標章「ARRAS SPORTS POLO」は、以下の理由でPoloの商標と実質的に異なるだけでなく、区別できるとして反論した。

1.4人の騎手がそれぞれの馬に乗っている。
2.騎手はポロというスポーツをしていない。

 さらに、この標章は2020年以降アローラ氏の香水事業に使用されており、Poloの事業とは全く関係がないと主張した。

法廷での主な検討課題は以下の通り;
1.アローラ氏に付与された登録は取り消されるべきか。
2.アローラ氏の著作権は「独創的」な芸術作品といえるか。

 裁判所は、2つの商標を比較する際には、量的な差異よりも質的な差異を優先させるべきであるとし、本件においては、アローラ氏の標章はPoloの商標に類似するとの判断を示した。したがって、アローラ氏の著作権は1957年著作権法で規定する独創的な芸術作品とはいえないとして、Poloはこの請求を維持する権利を有すると判断した。

 さらに、1957年の著作権法第45条第2項に基づき、著作権登録官は、商標法に基づいて登録された芸術作品と同一または欺瞞的に類似するものではないことを確認するための調査を行わなければならないと判示した。今回の事件では、著作権登録機関が、著作権法第45条の観点から、Poloの登録商標の類似調査を行えば、著作権も存在することが示されたはずで、アローラ氏の著作権登録により抜け穴が指摘されたのである。

 この裁判で、裁判所は著作権の訂正問題を扱ったMarico Ltd. vs. Mrs. Jagjit Kaur, 2018 SCC Del 8488の引用した。この事件では、オリジナルではない著作物についてなされた登録は、登録簿に誤ってなされた登録となるとし、さらに,著作権登録はオリジナルの芸術作品にのみ与えられるものであり,他のオリジナルの作品の複製または模倣である成果物には著作権登録が与えられないとした。

 従って、裁判所はPoloの請求を認め、著作権登録所に対し、命令の日から8週間以内にアローラ氏の「SPORTS POLO」の著作権登録を取消すよう指示した。

本文は こちら (A bump for POLO)