2022-07-28

中国:英皇集団が司法認馳を通じてカテゴリを越えた模倣商標の無効に成功 - UNITALEN

基本的な事件概要:
 英皇集団(Emperor Entertainment Group)は傘下に香港の主板市場(主要企業向け証券取引市場)に上場する6社の企業を擁し、事業内容は金融、不動産、時計・宝飾品、エンターテインメント、宿泊施設、メディアおよび家具や内装の配置などに及び、現在すでに事業の多元化を実現した総合企業グループとなっている。

 先ごろ、集佳法律事務所が代理人を務めた英皇集団が国家知識産権局、第三者の香港英皇国際集団控股有限公司を提訴した「英皇国際」商標(第12067509号:下図左)の無効審判請求行政紛争事件について、北京知的財産権法院の一審、北京市高級人民法院の二審を経て、最終的に2022年2月7日、北京高級人民法院は第(2021)京行終6500号二審行政判決を下し、英皇集団の引用商標「英皇鐘錶珠寶」(第1160070号:下図右)が2013年1月18日以前にすでに「宝飾品、宝石」商品上で馳名商標(日本の著名商標に相当)を構成し、第三者による係争商標の登録出願行為は2014年商標法第13条第3項の規定に違反し、馳名商標に対する複製、模倣を構成することを認定し、さらに係争商標の使用が指定されている「遊覧船による輸送、海上輸送」などの役務は馳名商標の使用が指定されている「宝飾品、宝石」商品との間に比較的密接な関係が存在し、係争商標の使用行為は、公衆を誤った方向に導き、英皇集団の利益を害する可能性があると判断した。二審法院は一審判決を覆し、最終的に係争商標を無効とした。 

典型的な意義:
 本件の勝訴は英皇集団の今後の権益保護にとって画期的な意義を有する。具体的には以下のとおりである。

 第1に、本判決は英皇集団が初めて司法認馳(司法手続きを通じて「馳名商標」の認定を受けること:訳注)を勝ち得た判決であり、引用商標である第1160070号商標に対する馳名商標の認定時期がさらに2013年1月に遡り、今後の権益保護の重要な拠りどころおよび参考とすることができる。

 第2に、国家知識産権局の統計によると、一審で商標評審委員会の裁定が覆される割合は平均でわずか8.2%、二審で商標評審委員会の裁定が覆される割合も平均13.9%しかない。二審法院が一審判決を維持することが比較的大きな割合を占める司法裁判の流れにおいて、本件では判決の変更に成功しただけでなく、さらに英皇集団の引用商標(第1160070号)が馳名商標であることが認定され、英皇集団の長年のブランド経営が十分に認められたものであり、今後の権益保護にとって重要な意義を有する。

 第3に、これまで、英皇集団の商標に対する保護について、国家知識産権局の行政馳名商標認定保護記録はいずれも第14類「宝飾品、宝石」商品と密接に関連する第18、25類の商品に関するものだったが、本判決では初めて第14類「宝飾品、宝石」から第39類「遊覧船による輸送、海上輸送」役務へとカテゴリを越える状況が実現し、引用商標(第1160070号)の馳名商標としての権益の保護範囲が拡大した。

本文は こちら (集佳中国知財情報 No.191)