2022年7月28日、コソボで商標に関する新法が施行された。新法は、商標に関するEU加盟各国法の手続きを近接させるために制定されたEU指令2015/2436と国内法との調和を図ったもので、新法はまた、知的財産権の権利行使に関する知財エンフォースメント指令2004/48を実施するための基礎となるものだ。
主な変更点は以下の通り;
* 写実的表現の要件を撤廃
商標出願時に標章の写実的表現に関する要件が撤廃された。
* クラスヘッディング(Class Heading)を文字通り解釈
保護対象の商品・サービスのリストを正確に定義することが要求される。
* 絶対的拒絶理由と相対的拒絶理由の追加
追加の絶対的拒絶理由が導入された。原産地呼称、地理的表示、ワインの伝統的呼称、伝統的特産品保証、植物品種と抵触する場合、標章は登録されない。
相対的拒絶理由に悪意による商標出願を追加した。
* 権利の消尽
商標権者は、以下の市場に出した後、当該商標を付した真正品の輸入を禁止することはできない。
コソボ、EU・EEA加盟国、西バルカン地域、及びコソボと自由貿易協定または貿易円滑化協定を締結している国。
* 商標権侵害の範囲拡大
商標権者が禁止する可能性のある類似または同一の標章の使用を立証することで商標権侵害の範囲が拡大された。つまり、社名としての標章の使用、広告、包装、ラベル、タグ上での標章の使用及びこれらを市場に出すことなど。
* 権利不要求の導入
商標に識別力がないと思われる要素が含まれている場合、知財庁は出願人に対し、識別力がない要素を権利不要求とするよう要求できる。
* 不使用の抗弁
訴訟において、被告は原告に対して侵害されたと主張する商標の使用を立証するよう要求できる。
* 市場検査局への不服申立て
行政手続きにおいて、侵害者に対して市場検査局に不服を申立てることにより、商標権を行使することができるようになる。上訴手続きは、2023年7月28日までに採択される細則で詳しく規定される。
* その他の変更
商標権の行使に関連して、知財庁の決定に対する不服申立て期間の変更、侵害品の押収と廃棄に対する金銭的補償など。
(Source: www.sdpkosove.com)