2022-08-25

中国:「施耐徳」商標権侵害紛争事件、懲罰的要素を考慮し法定賠償金額を確定 - UNITALEN

事件の概要:
 施耐徳電気(中国)有限公司(以下、「施耐徳中国公司」)は、権限付与を経て第9類「スイッチ、ブレーカー、リレー」などの商品において、第G715396号などの5つの「Schneider」、「施耐徳」の中国語・外国語商標の使用権を有しており、また民事訴訟を提起する権利を有する。2013年1月、施耐徳中国公司は杭州市下城区人民法院に訴訟を提起し、杭州東恒電器有限公司(以下、「東恒公司」)の前身である「杭州施耐徳電器有限公司」が第G715396号の商標権を侵害していると主張した。人民法院による調停を経て、東恒公司は第G715396号商標権の侵害を停止し、社名を変更し、施耐徳中国公司に経済的損失および合理的費用の計10万元を賠償すべきであることが確認された。

 事件調停後、東恒公司はウェブサイトのリニューアルと社名変更を行ったが、その後再びウェブサイトのトップページ、テキストタイトル、製品価格表、製品リンクなどに、「施耐徳」商標を継続して大量に使用した。またさらに、北京奇志浩天科技有限公司(以下、「奇志浩天公司」)が運営する「中国サプライヤーネットワーク」に東恒公司の商品を掲載し、そのうち201件に「施耐徳」商標の商品リンクが含まれており、紹介文でも大量に「Schneider/施耐徳」の中国語・外国語商標を使用していた。上述の行為は2019年まで続いた。施耐徳中国公司は再び訴訟を提起し、東恒公司に損失300万元の賠償を、奇志浩天公司には1万元の範囲内で連帯して責任を負うことを要求した。

 一審は次のように判断した。東恒公司の本件に係る行為は、同種または類似商品上に施耐徳中国公司商標と同一または類似の商標表示を使用し、関連公衆に商品の製造元について容易に混同を生じさせ、施耐徳中国公司が本件に係る商標に対して享有する権利の侵害にあたり、損害賠償の法的責任を負わなければならない。奇志浩天公司は情報発信プラットフォームとしてすでに合理的な注意義務を果たしており、また権利侵害となるリンクをすみやかに削除しており、権利侵害責任を負う必要はない。東恒公司が賠償すべき具体的金額に関しては、本件に係る商標の知名度、被疑行為が反復的な権利侵害であること、主観的悪意が明らかであり、かつ継続期間が比較的長いことなどを総合的に考慮し、東恒公司には施耐徳中国公司に経済的損失300万元を賠償するよう命じる判決を下した。当該事件の一審判決はすでに発効している。

典型事例の意義:
 本件は懲罰的要素を十分に考慮し、上限から法定賠償金額を確定した典型事例である。本件は懲罰的損害賠償が適用される法定要件を満たしていたものの、懲罰的損害賠償の基準の確定が困難であったため、人民法院は懲罰的要素を十分に考慮して上限から法定賠償金額を確定し、原告が主張する賠償金額300万元を全額支持した。本件の裁判は、重大な権利侵害行為に対する処罰の強化、知的財産権の厳格な保護という要求の貫徹・実行を十分に体現しており、市場化、法治化、国際化された商環境の整備に資するものである。
(事件出典:北京市高級人民法院)

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