2022-09-21

タイ:税関登録と模倣品差止に関する通達、登録申請は直接税関に! - Tilleke & Gibbins

 タイ税関は、税関登録制度および模倣品・海賊版の差止に関する税関手続きを変更する通達を発出した。商標および著作権侵害品の輸出入および通過に関する税関通達は、2022年8月4日に官報に掲載され、2022年7月29日に発効した。

 従来、税関への登録を求める商標権者は、タイ知的財産局(DIP)に必要な情報を登録申請しなければならなかったが、今回の通達により、商標権者、著作権者ともに直接税関に知的財産情報を登録できるようになった。
 
今回の通達により確立された制度と手続きの詳細は以下の通り;

税関の登録制度
 商標権者または著作権者(またはその代理人)は、税関職員がタイに輸出入または通過する商品の真正性を確認するために必要な情報を記載した申請書を税関の取締部(Enforcement Division)に提出する。

 申請書の情報は、受領日から3年間(商標・著作権保護の残存期間が3年未満の場合はその期間)保管される。更新する場合は、有効期限の30日前までに申請する必要がある。なお、情報に変更がある場合は、取締部に届け出なければならない。

職権による差止手続き
 税関職員は、登録された情報により知的財産権侵害の疑いがある物品を差止め、輸出者、輸入者、仲介者(または代理人)、および商標権者または著作権者に通知する。税関職員が輸出者、輸入者、仲介者(または代理人)と連絡が取れない場合、または3日以内に異議の申し出がなければ、差止めた物品は侵害品とみなされる。

 輸出者、輸入者、または仲介者が商品の侵害を認めた場合、担当官は検査、差止または逮捕の連絡票を作成し、更なる処置のために訴訟部門に転送する。新しい手続きでは、この場合、担当官は権利者からの確認書を必要としていない。

 差止に不服の場合、輸出者、輸入者、仲介者(または代理人)は、担当官からの通知を受け取ってから3日以内に、商品が侵害品でないことを示す証拠を添えて異議を申し立てる必要がある。その後、担当官は権利者に異議申立があったことを通知し、異議を不服とする権利者は3日以内に確認書と起訴の申立書を提出しなければならない。さもなければ、差止られた商品はリリースされる。また、権利者は10日までの延長を要求することができるが、延長によって生じる損害に対する保証金を求められることがある。

個別ケースに基づく検査申請
 権利者は、商標権や著作権の侵害が疑われる物品について、個別に税関検査を申請することもできる。税関職員は、検査申請書に添付された書類の正確さに疑いがないと認めた場合、物品を差止め、輸出者、輸入者、仲介者(または代理人)および申請者に通知する。通知を受けた申請者は、税関職員と調整して、24時間以内に物品を検査する必要がある。さもなければ、税関職員は差止めた物品をリリースする。

 検査後、物品のリリースを止めたい場合、税関職員は権利者(またはその代理人)に対し、検査後3日以内に確認書および起訴の申立書を提出するよう指示する。それに対して、輸出者、輸入者、または仲介者は、異議を申立てることができる。 

賠償責任
 税関登録または検査申請をした権利者は、申請に従って誠実に行われた税関職員の検査から生じる損害について、輸出者、輸入者、仲介者(または代理人)および税関に対して賠償責任を負う。

主な留意点
 税関への登録申請を義務付ける法改正が行われたため、DIPに以前登録された情報はすべて失効したものとみなされる。したがって、商標権者及び著作権者は、侵害品に対する国境管理を確実にするために、新しい制度に基づく税関登録申請を行うことが推奨される。
 税関の新制度は9月末ごろに開始される予定で、それまでの間、権利者は新しい制度での登録への準備が必要となる。

本文は こちら (Thailand Issues New Rules on Customs Recordation and Seizure of Counterfeit Goods)