2022-10-19

EU:有名な商標の権利範囲は広い - Knijff Trademark Attorney

 リキュールの商標として有名な「イエーガーマイスター(JÄGERMEISTER)」には鹿が描かれている。しかし、だからといって、食品やノンアルコール飲料を指定して出願された商標に描かれた別の鹿のロゴに対して異議を主張できるのだろうか?実のところ、これらの製品は似て非なるものであり、ロゴもちょっと違っている。

 マスト・イエーガーマイスター(Mast-Jagermeister、イエーガーマイスターの製造会社)は、鹿のロゴが広く知られていることを根拠に、後願の商標登録に異議を申立てた。EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、イエーガーマイスターの名声に関する証拠を検討し、この商標が長年にわたって広く使用されていることを認めた。

 しかし、イエーガーマイスターのロゴが非常に有名であるからといって、他の商標が自動的に侵害を構成することにはならない。他の商標が侵害とみなされるためには、消費者がその商標と商品との間に関連性を見出すか、あるいは他の商標の名声から利益を得たり希釈化したりする意図的な試みを含んでいなければならないからだ。

 EUIPOは、細かな違いが見られるものの、両ロゴは外観的に類似していると判断した。EUIPOは、両ブランドの製品は販売チャネルが重なっていることから、消費者が両商標を関連付ける妥当性が高いことで、後願の商標がイエーガーマイスターの名声にただ乗りして利益を得るという現実的な虞があり、商標が希釈化する虞もあるとして、異議申立を支持した。この決定は、著名な商標を持つ権利者にとっては朗報となった。

本文は こちら (A deer on a drink – where have we seen that before?)