2022-11-01

中国:”史上最速”の出願審査によって短くなる第三者による先行商標の対策時間 - Marks & Clerk

 中国国家知識産権局(CNIPA)は、商標出願審査に1年近くを要していた時期もあるが、現在は審査が加速され、審査期間が大きく変化している。

 現在、新規商標出願の審査には通常3~5ヶ月かかり、最短2ヶ月で終了することもある。つまり、出願人は、わずか2~5ヶ月で商標登録の行方を知らされることになる。中国では出願件数が非常に多いにもかかわらず、商標出願の実体審査を行っている他の多くの法域よりも早く審査が行われている。

 同様に、他の商標手続きや審理の期間も早くはなっているが、そのスピードは商標出願審査に比べるとはるかに緩やかだ。以下は、主な手続きに関するおおよその審理期間だ。

手続き 期間
不服審判 6-9 ヵ月
異議申立 8-12ヵ月
無効審判 8-12 ヵ月
不使用取消審判 6-9 ヵ月

 ブランドオーナーは、この迅速な審理から確かに利益を得ることができる。しかし、それはまた、いくつかの複雑さと困難をもたらしている。明らかなマイナスは、出願人が出願を妨害する可能性のある第三者の先行商標を排除するための対策を取る時間が短くなっていることだ。潜在的な障害を取り除くための努力(異議申立、不使用取消、無効化など)を続けている間に、出願商標が登録を拒絶されてしまうことがよくある。

 新規出願を延命させるために、余分な費用のかかる追加的な手段を講じなければならないことも少なくない。通常、審査を遅延させる方法として以下のようなものがある。

延命対策のメリットとデメリット

1.商標出願と一緒に書面を提出し、第三者の抵触商標との争いが係属中であることを説明し、関連する審理が完了するまで新しい出願の審査を保留するようCNIPAに要求する。
* このような要求に応じるかどうかは審査官次第である。
* 実際には、このような要求の大半は拒否されるか、単に無視される。

2.補正通知書が発出されるように、認められないであろう商品・サービスを指定する。
* 通常の審査期間が2~3ヶ月伸びる可能性があるが、第三者の先行商標との争いが終わらせるのに十分でないことも多い。

3.友好的な第三者に出願日に商標に抵触する商標の出願を依頼し、特別な公的手続を発動させる。
* CNIPAは、2つの同日出願のうちどちらを優先するかを決定するための特別な手続を行う。出願人は、それぞれの商標の使用証拠を提出するよう命じられ、証拠が提出されない場合、または提出された証拠に十分な立証能力がない場合、CNIPAは両出願人に交渉するよう通知する。交渉がまとまらない場合は、抽選によりどちらの出願を残すか決定する。
* 通常の審査期間が0.75~1.5年延びる可能性がある。これは通常、第三者の先行商標との争いが終了するのに十分な期間である。
* CNIPAは、このように同日出願される抵触商標の不自然な増加を認識しており、「同じ日に出願された悪意のある商標出願」を防止・処罰する対策の実施を検討していると言われている。CNIPAが悪意のある商標出願をどのように定義するかは不明で、この戦術はすぐに実行不能になる可能性がある。

4.出願が拒絶になった後に再出願する。
* 再出願を続けるにはコストがかかる。
* 再出願の前に第三者による抵触商標の出願があり、再出願の新たな障害となる可能性がある。

 現時点では、3番目の対策が審査の迅速化によって生じるタイミングの問題に対処するための最も効果的な方法であるように思われる。しかし、CNIPAは、ブランドオーナーがこの遅延戦術を利用することを制限し、あるいは禁止する措置を近々導入する可能性があるようだ。CNIPAは、出願人が直面するタイミングの問題を認識すると同時に、ブランドオーナーが通常の手続きによって権利を確保できるよう、現在の困難を解決するのに役立つ他の措置を導入することが期待される。

本文は こちら (Faster than Ever” Examination Speed in China)