2022-12-07

2021年の世界全体の知財出願件数が過去最多を更新、アジアが成長を牽引 - WIPO

 2021年、特許・商標・意匠を含む知的財産の世界全体における出願件数は過去最多を更新した。WIPOの世界知的財産指標 (World Intellectual Property Indicators: WIPI) 報告書によると、知財出願の件数は、過去の景気低迷時の傾向とは異なり、COVID-19のパンデミックの真っ最中であった2020年も堅調で、2021年には急増を示した。

 「最新のWIPIのデータによれば、知的財産の出願は、主にアジアでの件数増に牽引されて、継続的・持続的に伸びており、他の地域でも概ね増加傾向にあった。パンデミック中に知財出願が伸びたことは、世界中の人々が、パンデミックによる経済的・社会的混乱に屈することなく、創造とイノベーションを続けたことを示すものだ」と、WIPOのダレン・タン(Daren Tang )事務局長は述べている。

商標
 2021年には世界全体で1,810万区分に及ぶ推定1,390万件の商標出願が行われた。2021年の出願において指定された区分数は5.5%増となり、12年連続の伸びを記録した。商標出願活動は上位20官庁のうち18庁で増加を示した。

 また、2021年には、韓国の12.7%から英国の61.8%まで、11の知財庁で2桁成長を記録した。増加の要因は官庁ごとにさまざまで、例えば、ブラジル、インド、トルコでは、国内出願が全体の増加を牽引した。一方、カナダ、スイス、英国では、主に外国出願の増加が全体の件数の伸びに貢献したものであった。

 なかでも、中国国家知識産権局における商標出願が最も多く、区分数ベースで約950万件、次いで米国(USPTO)の899,678件 、欧州連合知的財産庁 (EUIPO)の497,542件、インドの488,526件、英国の450,815件の知財庁順となった。

 2021年における全ての商標出願で、アジアの知財庁が占める割合は69.7%となり、2011年の44.7%から増加した。欧州のシェアは、2011年の31.6%から2021年には15.7%に減少し、北米は2021年に世界全体の5.9%を占め、一方、アフリカ、中南米カリブ海地域、オセアニアにある知財庁の2021年の合計シェアは8.7%となった。

 2021年、出願人が最も多く海外で商標保護を求めた分類は「研究・技術」で、世界全体の非居住者による商標出願の20%を占め、次いで「保健」の13.8% 、「衣類・アクセサリー」の12.8% 、「レジャー・教育」の10.5%、「家庭用機器」の9.7%、「農業」の9.6%、「ビジネスサービス」の9.5%の分類が続いた。

 2021年に権利存続中の商標登録は、149の知財庁で合わせて推定7,370万件あり、2020年から14.3%増加した。そのうち中国が単独で3,720万件を占め、次いで米国の280万、インドの260万の順となった。

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