インドでは、商標出願で複数の指定区分を多区分として出願することも、異なる区分を別々に出願することもできる。しかしながら、基本的に単区分での複数出願を勧めている。欧州などの他の法域とは異なり、オフィシャルフィーの面でのメリットはなく、出願の種別に関わらず手数料は1商標1区分ごとに計算される。
多区分で出願された商標は公報に99類として掲載され、その後、多区分出願された商標の登録が認められた場合も、登録証の指定区分は99類となる。
この方法をインドの商標登録機関が採用したのは、商標登録機関独自のITシステムが設計されたとき、インドに多区分出願制度が存在していなかったからだ。
多区分出願に対応するためには、ソフトウェアモジュールをかなり見直す必要があり、妥協案として、公告時および登録証発行時に99類を多区分出願とする工夫がなされたのだ。しかし、出願され、最終的に商標が登録された実際の指定区分は、公告と登録証の両方に記載される。したがって、現実的には、99類の表記は無視してもよい。
しかし、いざ訴訟になったときは、99類に登録された意味を裁判所に説明しなければならず、いささか厄介でもある。
また、99類という特別なデータに対応する仕組みのない企業のソフトウェアモジュールでは、対応するためのシステム変更が必要となり、実際の指定区分に関する情報を物理的に、かつ手作業で入力しなければならない。
インドでは、オフィシャルフィーや代理人手数料の面でコストメリットがなく、そのため、多区分ではなく、単区分で出願することを勧めている。