2023-02-14

EU:自動車会社のセアトが類似ロゴの異議申立に成功、将来的には? - Knijff Trademark Attorneys

スペインのカタルーニャ州に本拠を持つ自動車会社のセアト(SEAT)が、フェイスマスクの製造を開始したのかと一瞬思ったが、とんでもない。この混乱は、韓国の企業がEUでフェイスマスクの販売で、似たようなロゴを商標出願したことから発した。

幸いなことに、セアトの商標は広い商品分野で登録されており、使用の要件に問題がないことから、韓国企業の商標登録を阻止することはかなり容易であった。もちろん、特に二つのロゴにいくつかの相違点があるので、商標が類似するという主張で勝てると、セアトも100%確信できなかった。EUIPO(欧州連合知的財産庁)も類似について評価した結果、全体的な印象は相違点よりも類似点の方が多いと判断し、異議申立ての正当性を認めた。

しかし、商標の使用要件が問題となったとしたら、セアトは容易に勝てるのだろうか。将来的には、商標が指定している商品(化粧品、宝飾品、バッグなど)が実際に使用されていることを証明しなければならないからだ。もし、これに失敗しても、セアトは、商標の著名性を主張することができ、これは広い商品分野での保護を許容するものである。しかし、この主張に基づく異議申立が認められるためには、セアトの商標権の希釈化か出願人がセアトの評判から不当に利益を得る危険性があることのいずれかの立証が必要であり、これは一般的に容易ではない。

もちろんセアトは、さらに5年間の猶予を得るために新たな商標を出願することもできるが、この目的のためだけに商標を再出願することは、今日では不誠実な行為と見なされるため、この選択肢は排除したほうがいい。

このように、新しいロゴを作成する際には、使用要件や使用する商品・役務の分類を伴わない意匠登録を検討することも意味があるかもしれない。

       先行するセアトの商標         出願された商標

本文は こちら (Has SEAT started making face masks?)