不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(Unfair Competition Prevention and Trade Secret Protection Act :UCPA)は、様々な不正競争行為を定義しており、その中には、韓国でよく知られている他人の標章と同一または類似する標章を使用して、商品や事業の出所について混同を惹起する行為を禁止する条項「消費者混同規定(consumer confusion provision)」が含まれている。現行のUCPAでは、消費者混同規定に違反した者が著名になる前の商標を善意で使用した「善意の先使用者(Good Faith Prior User)」であっても、違反行為の責任を問われる可能性がある。
また、UCPAには不正競争行為として商標の希釈を禁止する条項「商標希釈規定(dilution provision)」がある。2001年に商標希釈規定が追加されて以来、消費者混同規定とは対照的に、善意の先使用者に対するものを含め、商標希釈規定が適用されないいくつかの例外が含まれている。このような法律の文言の違いから、善意の先使用者が消費者に混同を惹起させた場合、引き続き法的責任を負うというのが一般的なコンセンサスであり、最高裁の判決もこれを支持するものであった。しかし、時とともに、この解釈は善意の先使用者に不公平であるとの批判が高まり、消費者混同惹起行為はあらゆる状況下で引き続き禁止されるべきとの意見も出てきている。
UCPAの改正案(「改正案」)が2023年3月28日に公布され、「他人の商標と同一または類似する商標を不正な目的なしに、商標が韓国で周知になる前から継続して使用する行為」を不正競争行為とみなされる範囲から除外し、「善意の先使用者」の例外を認めることとなった。また、改正案には、著名な商標の正当な所有者が、善意の先使用者に対して、混乱や欺瞞を防ぐために必要なラベルの作成と使用を求めることができる条項も含まれた。
改正案では、善意の先使用者が不正競争行為から免れる例外規定が設けられたが、著名商標の所有者は、善意の先使用者が改正法の規定に従って消費者の混同や欺瞞を防ぐために必要な努力を尽くすことを求めるべきである。
改正法は2023年9月29日に施行される予定で、同日以降の不正競争行為に適用される。
本文は こちら (Can a Well-Known Mark Owner Raise a Consumer Confusion Claim Against a Good Faith Prior User?)