文字とグラフィックスの両要素からなるロゴに最適な商標保護を提供する最善の方法は、文字を文字商標で、グラフィックスを図形商標で別々に商標登録することだ。文字商標であれば、グラフィック要素に関係なく、文字を最も広く保護することができる。もちろん、保護したい文字に十分な識別力がなくてはならない。文字商標の利点としては、将来グラフィックス要素が変更されてもその有効性に影響がないことだ。
図形商標を文字商標と別に商標登録することの利点は、図形要素と文字の結合を保護できることだ。図形要素が単独で使用される可能性がある場合、文字なしで登録することも理にかなっている(この良い例にナイキのスウッシュなどがある)。
文字と図形の両要素からなる商標に識別力のある文字が含まれている場合、商標法の下で比較されたときに、文字が図形要素よりも支配的であることが多い。では、なぜ、すでに文字を商標登録している場合に、図形要素も商標登録するのが賢明なのだろうか?次の異議申立は、この疑問に対する答えを与えてくれるものだ。
有名な「Paul Smith(ポールスミス)」商標は、「John Smith(ジョンスミス)」なる出願商標に対して異議申立を行った。EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、ファーストネームが普通に存在するものであり、ファミリーネームが同じであることから、外観的な類似性を示すのに十分であると判断した。しかも、「John Smith」商標のフォントが「Paul Smith」商標のものと同一であったことが外観的類似性を大きく高めているとして、ポールスミスの異議申立を認めた。
なお、今回の場合は、図形的要素がなくてもポールスミスは勝っていたものと思料される。
本文は こちら (The Smiths)