2023-05-25

EU:商標登録要件の変更で何が変わったか?非伝統的商標への影響は? - Novagraaf

 形状商標などの非伝統的商標の新時代を告げると期待されているが、欧州連合(EU)の商標登録要件の変更により商標権者にとって何か変わったのだろうか?

 非伝統的商標とは、形状、色、匂い、音を保護するための商標で、EUIPO(欧州連合知的財産庁)全体の登録商標ではごく一部しか占めていないが、非伝統的商標は企業が商品やサービスを差別化するための革新的な手段として人気になっている。

 非伝統的商標の登録出願に「写実的表現(Graphical Representation)」の要件がなくなったとはいえ、新たな要件が導入された。現在、EUでは、商標が「ある要素」のみで構成されている場合、登録できない(商標理事会規則第7条(1)(e))。それには以下に記載する事項のみを構成要素としている記号が含まれる;
* 商品そのものの性質から生じる形状又はその他の特徴
* 技術的成果を得るために必要な,商品の形状又はその他の特徴
* 商品に本質的価値を与える形状又はその他の特徴

 改正前は、このような構成要素は商品の形状に限定されていたものが、現在ではこの要件が広範囲に適応可能で、商品属性全てに当てはめることができる。

商標として登録できない形状や特徴
 従来、商品の特性上、商標登録ができなかった形状の例として、卵パックやバナナの保存箱(商品そのものの形状のみからなる)などがあり、同様の理由で、皮革、ガラス、木材などの特定の素材に特定の形状を与える場合も従来商標登録ができなかった。また最近まで、原材料そのものは形状の定義に当てはまるような特定の形状を有していなかったものの、新しい要件が導入されたことにより、これまでは素材自体に形状がなく、形状の定義に当てはまらなかったものも「その他の特徴」に該当し、商標登録が認められなくなる。
 また、技術的結果を得るために必要な形状やその他の特徴のみで構成される商標の登録も困難だ。例えば、レゴブロックの場合、その機能を果たすためには、ブロックが他のブロックにピッタリはまる必要があるため、形状の特徴のすべてではないにしても、そのほとんどが技術的に決定されることになる。
 もう一つの要件は本質的価値だ。これは、商品に本質的な価値を与えるほど美しい形状やその他の特徴のみで構成される商標だ。有名な例は、ルブタンの赤いソールの靴やバーバリーのチェック柄だが、これらの商標はいずれも旧法に基づいて登録されたが、今日では「商品に本質的な価値を与えるその他の特徴」に該当する可能性が高い。

どのような形状(またはその他の特徴)なら登録できるか?
 非伝統的商標を登録する解決策は、出願人が商標として登録したい形状またはその他の特徴にロゴを追加することだ。ロゴが追加されると、商標はもはや問題の形状または特徴のみで構成されなくなるため、登録の可能性が高くなる。同じ理由で、形状(またはその他の特徴)に、その他の「技術的ではない」要素を追加して、形状の特徴が技術的成果を得るために必要なものばかりでなくなるようするのも有効だ。

 同様に、本質的価値の基準はロゴに適用されないので、標識にロゴを追加しても、その商標は本質的価値の要件に該当しない。また、形状や特徴が商品に本質的価値を与えるかどうかを評価する際には、著名な商標としての魅力、つまり商標やブランド所有者の評判に惹かれて消費者が商品を購入するかどうかは考慮されない。

非伝統的商標の権利者向けガイダンス
 すでに登録されている非伝統的な商標または形状商標が、原則として「その他の特徴」に該当する可能性がある場合でも、登録に問題はありません。EUの判例から明らかなように、商標登録機関や裁判所は、この要件を遡及適用していません。したがって、権利者であるあなたは、除外がまだ存在しなかった申請時に何らかの行動を起こす必要はありません。ただし、将来的に非伝統的な商標を登録する予定がある場合は、新しい要件に注意する必要があります。

 非伝統式商標や形状商標が既に登録されている場合、潜在的に「その他の特徴」に該当したとしても、原則として登録商標に何の問題も生じない。EUの判例からも明らかなように、商標局や裁判所はこの要件を遡及して適用することはない。したがって、商標権者としては、出願時にこの除外規定が存在しなかったため何の対応もする必要はない。しかし、将来的に非伝統的商標を登録するつもりであれば、新しい要件に留意する必要はある。

本文は こちら (Non-traditional trademarks in the EU: Has anything really changed?)