2023-07-07

EU:「ジョージ・フロイド」は商標として機能しないとして拒絶、不服審判では? - Knijiff Trademark Attorneys

 2020年5月25日、アフリカ系アメリカ人の黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)は、ミネソタ州ミネアポリスで偽札使用を疑われ、通報を受けた白人警官が膝で押さえつけ死亡した。 事件は警官の差別的で過剰な暴力の象徴と見なされ、警察改革と人種差別に対する世界的な抗議につながった。

 ジョージ・フロイドを偲んで、彼の相続人は財団と知財管理会社を設立し、衣料品や資金調達などを指定して「GEORGE FLOYD」商標を出願した。

 しかし、これらの商標出願は欧州連合(EU)で障害に直面し、出願されたすべての商品とサービスについて登録を拒絶された。

 興味深いのは、欧州商標庁がこれらの出願を拒絶した理由である。商標庁の見解では、「GEORGE FLOYD」という名前は2020年の出来事と即座に結びつき、人種差別、人種プロファイリング、偏見に対する抗議のシンボルとなっている。つまり、この名称は政治的主張として認識されるため、企業の商品やサービスを区別するという商標の機能を果たしていない。例えば、「GEORGE FLOYD」の文字が入ったTシャツは、商標(財団に関連する商品)の使用ではなく、意思表明とみなされる。従って、このような名称は誰でも使用可能であるべきである。

 特に、第三者が自己の利益のために商標を出願し宣伝される可能性を考慮すると、この判断は確かに評価に値する。一方、商標登録を通じてジョージ・フロイドの遺産を保護することに正当な利益があるとして、知財管理会社が出願を行ったと主張することも可能である。知財管理会社は、査定の1つに対して審判請求しており、他の拒絶査定に対しても審判請求が続くと思われる。審判部がこの件に関してどのような判断を下すか注目される。

本文は こちら (George Floyd is a political symbol, not a trademark)