2023-08-01

中国:CNIPA、模倣企業を代理した商標代理事務所を業務停止処分 ― Marks & Clerk

 最近、中国のIPエージェントである北京四海龙知识产权代理有限公司(Beijing Sihailong Intellectual Property Agency Limited、以下「同代理人」)が、商標法に基づくデューディリジェンス義務に継続的に違反したとして、中国国家知識産権局(CNIPA)から制裁を受けた。同代理人は、CNIPAから商標案件の取扱いを12ヶ月間停止され、また3年間にわたり重大な法律違反および市場規制の信頼性に違反した代理人リストに掲載された。これにより、今後一定期間、商標代理に関する業務に従事することができなくなるだけでなく、上級管理者の個人的な業務活動や商取引も制限される可能性がある。

 同代理人は、香港の模倣企業BEN MOTORS LIMITEDの依頼で、英国の高級車メーカー、ベントレー・モーターズ(Bentley Motors Limited)と同じ中国語名を使用した「ベントレー」関連商標を多数出願したとして、2021年に地方市場監督管理局(AMR)から罰金を科された。

 2022年10月、同代理人は、中国企業を代理して商標譲渡手続きにより2つの「adidas」商標を取得したことで、現地のAMRから再び制裁を受けたが、その真の所有者はドイツのアディダス(adidas AG)であり、アディダスは譲渡を許可しておらず、そのことを全く知らなかった。
また、同代理人は、香港の小企業adidas AG LIMITEDの依頼で、アディダスが所有する298の商標の登録者住所を香港の模倣業者の住所に変更し、さらに、前述の中国企業を30以上の「adidas」商標のライセンシーとして登録した。

 2023年2月、CNIPAは、同代理人の上記一連の行為について審理を行った。2023年5月、CNIPAは、同代理人の商標業務停止等に関する行政処分決定を下した。その決定において、CNIPAは次のように述べている:

1. 同代理人は、同じ中国人の依頼により、アディダスとベントレーの商標案件を処理したが、これは明らかに社会的良識に反する行為であったにもかかわらず、登録、譲渡、変更、ライセンス登録、証明書の再発行などに関連する申請を大量に行ったため、基本的なデューディリジェンス義務を怠ったことは明らかで、主観的過失があった。
2. 「宾利(中国語でベントレー)」、「BENTLEY」、「B-in-wings logo(翼のロゴマーク)」は、英国の有名な自動車会社であるベントレー・モーターズの著名な商標であり、その人気と影響力は絶大である。香港の模倣会社のためにこれらの商標の登録を申請した同代理人の行為は、依頼された事項が他人の先行権利を侵害することを知りながら依頼を受けたことになり、状況を深刻化させた。
3. 同代理人が行った一連の行為は、ベントレー・モーターズおよびアディダスの合法的権益を害しただけでなく、CNIPAの商標審査業務を妨害し、商標業務の市場秩序を混乱させた重大な事態といえる。  

コメント
 2019年の中国商標法改正により、商標代理人は信義誠実の原則に反する出願の引き受けをしてはならないという要件が追加され、代理人にデューディリジェンス義務が課された。2022年以降、中国各地の市場規制当局は、悪質な商標出願の代理等の行為に対して200以上の行政処分を科している。2023年以降、CNIPAは、代理人に対して3年間有効な業務ライセンスの再取得を義務付けるなど、商標代理人に対する監督管理を強化し続けている。これらの取り組みは、商標権者の権利を保護し、侵害を防止するものであり、ブランド所有者にとって大きな経済的負担となり得る悪意ある出願の問題に取り組む一助となることが期待される。また、商標実務者にとっても、ある程度、公平な市場環境を提供する一助となることが期待される。

本文は こちら (China: Trade mark Agency Suspended for Representing Bentley and Adidas Copycats)