2023-08-04

EU:オクトーバーフェストは一般名称? - Knijff Trademark Attorneys

 オクトーバーフェスト(OKTOBERFEST)のミュンヘン・ビール(Münchener Bier)は地理的表示として保護されているため、ミュンヘン産でなければならない。 

 しかし、「OKTOBERFEST」はEU商標で、バイエルン州の州都であるミュンヘン(LANDESHAUPTSTADT MÜNCHEN)の名で多くの商品・サービスに登録されている。さて、この商標は、世界中で開催されるビール祭りの名称となった現在、有効なのだろうか。商品に使用される場合、「OKTOBERFEST」は商標(商品の出所表示となる)とみなされるのか、それとも単なる記述的表示となるのか。この疑問は、ある商標事務所(おそらく匿名を希望するクライアントの代理人)がEU商標「OKTOBERFEST」に対して取消請求を申し立てた際に生じた。重要な点は、「OKTOBERFEST」が出願されたとき、EUIPO(欧州連合知的財産庁)から当初登録を拒絶されたという点だ。

 記述的な特徴を評価しなければならないのは、EU商標の出願日時点においてだが、請求人は、「OKTOBERFEST」が広く使用されていることを立証するために、いくつかの証拠を提出した。さらに、この事件で興味深かったのは、悪意の主張である。請求人は、権利者がすでに誰もが普通に使用していることを知りながら、記述的な商標を出願することによって不法行為を行ったと主張した。 

 オクトーバーフェストがミュンヘンのお祭りであることは常識で、消費者は商品に付された「OKTOBERFEST」を商標として見ているということに請求人は当然反論した。

 EUIPOはまず、この商標が記述的かどうかを審査した。提出された証拠は眼鏡と衣服にのみ焦点を当て、この名称が出願当時に実際に広く使われていたことを立証した。その結果、眼鏡と衣服の区分の特定の商品について取消請求は成功した。しかし、その他の商品やサービスに関しては、「OKTOBERFEST」と各商品との関連性はそれほど単純でも明らかでもなかった。

 悪意の主張も成功しなかった。以前から個人または企業が「OKTOBERFEST」を使用していたことを立証できれば、悪意の問題が生じる可能性があるが、商標が複数の当事者によって使用されていたと主張しても、その時点で関与していた正確な主体が特定されているわけではなく、その結果、他人が同一の商標を使用したという事実だけでは悪意を立証する証拠としては不十分であるため、出願が悪意によるものかどうかを評価することは不可能となる。

 結局、取消請求は2つの区分で成功したが、多くの区分では成功しなかった。これは権利者の勝訴を意味するのだろうか。この決定は、他の商品に対して「OKTOBERFEST」が一般的に使用されているという説得力のある証拠があれば違った結果になることを意味するため、まだいくらかザワザワする。

本文は こちら (Oktoberfest)