9月11日から13日にかけて、日米欧中韓による商標五庁(TM5)年次会合が韓国・仁川で開催され、日本国特許庁(JPO)からは山下審査業務部長が出席した。
会合では、これまでの課題に加え、メタバースや人工知能等の新技術や進化する商習慣下における新たな商標の課題に対応するため、各庁が引き続き協力を進めていくことを確認した。
また、JPOが主導する「悪意の商標プロジェクト※1」、「商標審査を補助するITツールプロジェクト※2」及び「ユーザー参画プロジェクト※3」を含む15の協力プロジェクトと2つの新規提案プロジェクトについて、成果の確認と今後の進め方について議論した。
JPOが担当するプロジェクトに関しては、「悪意の商標出願プロジェクト」について、TM5での取組の成果を広める啓発セミナーを、2024年初頭にベトナムで開催することについて合意し、「商標審査を補助するITツールプロジェクト」について、今年に引き続き、来年も専門家会合を開催することが合意され、さらに、「ユーザー参画プロジェクト」については、2024年5月の国際商標協会(INTA)年次総会内で次回の「TM5ジョイント・ワークショップ」を開催すること、及び、当該ワークショップのテーマを「審査段階における混同の可能性を判断する方法」とすることで合意した。
会合の最終日には、業界団体・代理人団体等のユーザー代表者を対象としたTM5ユーザーセッションが開催され、各庁から最新の統計・施策状況を報告したほか、「デジタル時代における商標登録出願の課題」を主なテーマとしてユーザー代表者が講演を行い、意見交換を実施した。
2024年のTM5会合は、JPOが主催することで合意された。
※1 悪意の商標出願について、各庁の制度・運用に関する情報交換を行うとともに、ユーザーに対してこれらの情報提供を行うことを目的としている。
※2 審査の効率化に繋がるITシステムに関する情報交換を目的としている。
※3 EUIPOと共同で主導するプロジェクト。JPOパートでは、一般ユーザーへの情報発信のため、国際商標協会(INTA)と連携して行うTM5ジョイント・ワークショップを開催している。