2023-10-30

中国:シーメンスの商標権侵害及び不正競争訴訟で最高人民法院が模倣・混同行為を認定 - 北京路浩

【事実・争点】
 洗濯機器を指定商品とする中国登録商標「西门子」に対し、シーメンス株式会社(以下「シーメンス」)とシーメンス(中国)有限公司(以下「シーメンス中国」)がその専用権を有する上、長年間の使用を経て、比較的に高い知名度を獲得した。更に、シーメンス社とシーメンスの中国法人の商号である「西门子」も一定の影響力をもっている。寧波奇帥電器有限公司 (以下 「奇帥社」)は、自ら生産する洗濯機器及びにその包装に、かつ宣伝活動においても、「上海シーメンス電器有限公司」の標章を使用した。
また、昆山新維創電器有限公司(以下「新維創社」)は、前記の洗濯機器の販売を行った。
 シーメンスとシーメンス中国は、奇帥社と新維創社を商標権侵害と不正競争行為があると主張し、訴訟を提起し、計人民元 1億16万の損害賠償を求めた。

【判旨】
 第一審では、江蘇省高等人民法院は、奇帥社と新維創社が商標権侵害と不正競争行為があるとして、原告側の主張を全面的に支持した。被告側が不服し、事件を上告した。
 第二審では、最高人民法院は、奇帥社と新維創社の本件行為が商標権侵害と不正競争行為に該当すると第一審の判断を支持した。第一審では、賠償金額について、原審被告側が財務資料の提供を拒否したため、江蘇省高等人民法院はメディアが報道する総売上高を計算の根拠にし、この総売上高の1/15と推定した。最高人民法院も、この計算の方法は妥当であると判断した。また、本件の証拠によれば、奇帥社が侵害製品を生産し販売することで得られた利益は、遥かに不正競争禁止法の第 17条4項が規定する法定賠償の最高限度額を超えた。シーメンスとシーメンス中国の知名度を考慮し、奇帥社の主観故意、侵害の規模、侵害行為の継続時間、洗濯機器製品の利益率を総合的に考慮の上、第一審での損害賠償金額の妥当性を認めた。

【典型的意義】
 本事案は、模倣と混同の行為に関する典型的事例で、典型的意義は以下の通りとなる。
 まず、他人所有の一定の知名度を有する企業の商号及び登録商標と同一または類似する標章を商号として使用し、経営活動を行うことは、不正競争禁止法第6条が規定する不正競争行為に該当する。
 次に、最高人民法院は、提示された証拠で侵害額と損失額を証明できない場合、賠償金額算定の考慮要素をいくつか提示した。
 本事案は、混同行為の認定と賠償金額の算定などの法律の適用の問題に対し、典型的意義を有する。

本文は こちら (路浩知財ニュースレター)