2023-11-22

アマゾンがEUIPOの知的財産エンフォースメントポータルに参加 ― Novagraaf

 欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、米国の巨大オンライン小売業者アマゾンがIPEP(IP Enforcement Portal:知的財産エンフォースメントポータル)に参加することを発表した。アマゾンは知的財産エンフォースメントポータルに参加する初のオンライン・マーケットプレイスとなる。

 EUIPOは、権利者、税関職員、警察、市場監視当局のための協調空間としてIPEPを設立し、コミュニケーションと情報交換のための安全な環境を提供することで、模倣品の特定と摘発を促進している。すでに欧州連合(EU)全体で1,400以上のブランド所有者と81の取締機関に利用されており、EUIPOは、アマゾンなどのオンライン・マーケットプレイスの参加により、この協力的な取り組みがさらに強化されると確信している。
 EUIPOはまた、情報共有を支援し、EU全域の法執行機関に連絡先を提供するために、IPEPの新しい一連の機能を構築する計画であると発表した。IPEPは、オンライン・マーケットプレイスで使用されている告知と撤回手続(notice and takedown channels)に取って代わるものではないが、その目的は「権利者および法執行機関との情報交換を強化することにより、ユーザーを模倣品から保護したいと考えるすべてのオンライン・マーケットプレイスに利益をもたらす」ことである。

オンライン上の模倣品問題を解決するのに役立つか?
 オンライン・マーケットプレイスにおける模倣品は、ブランドオーナーにとって絶え間ない問題であり、多くのブランドオーナーが、告知と撤回手続が整備されているにもかかわらず、権利を行使することが困難であることに大きな不満を表明している。残念なことに、犯罪者はオンライン・マーケットプレイスを簡単に悪用し、無許可で、しばしば危険なコピー商品を販売する。ある模倣品を撤回させても、すぐに別の模倣品が現れる。
 オンライン・マーケットプレイスの人気と利用が高まるにつれ、そのようなプラットフォームでの模倣品販売を阻止する責任を誰が負うべきかという問題が、かつてないほど熱い話題となっている。模倣品業者は動きが速く、事実上国境を越えて活動するため、ブランド所有者が侵害品の所在を突き止め、犯人に対して効果的に行動することは困難である。一方で、模倣品をプラットフォームで提供するオンライン・マーケットプレイスは、模倣品流通の責任を問う取組みに抵抗してきた。

 しかし、最近の裁判所判決から、オンライン・マーケットプレイスは、模倣品販売との闘いに協力せざるを得なくなるとは言わないまでも、協力するよう促される可能性がでてきている。
参考となる判決は こちら (オンライン上の商標権侵害でオンライン小売業者の責任をEU司法裁判所が示唆)

本文は こちら (Amazon joins the EUIPO IP Enforcement Portal)