2023-11-29

カナダ:「VIVO」商標に対して「VIVOFIT」等と混同の虞ありとした異議申立が成功 - Marks & Clerk

カナダの商標異議委員会(Trademarks Opposition Board:以下、異議委員会)は、Vivo Mobile Communication Ltd.(以下「出願人」)の出願商標「VIVO」が、Garmin Switzerland GmbH(以下「異議申立人」)の登録商標(「VIVOFIT(登録番号:TMA909532)」、「VIVOSMART(登録番号:TMA899032)」、「VIVOSPORT(登録番号:TMA1081876)」)と混同する虞がないことを合理的に立証できなかったとして、「VIVO」商標の登録を拒絶した: 

 異議申立人は、出願人の2件の出願商標「VIVO(以下「本願商標」、出願番号:1863258と1861990)の登録に異議を申し立てた。

 本願商標の出願は、電気通信の商品・サービスに関連する使用予定に基づいて行われ、本願商標に対する異議申立は、主に、異議申立人が所有する「VIVO」から成る商標と混同の虞があるとの理由に基づいて行われた。

 異議申立人は、依拠した商標の顕著な又は支配的な要素は構成要素である「VIVO」であり、この要素は関連商品の説明的又は暗示的なものではないことを立証した。異議申立人商標の固有の識別力は、フィットネス、スマート技術、スポーツに関連する商品を示唆/描写すると考えられる接尾辞の構成要素FIT、SMART、SPORTによって弱められると判断された。一方、出願人の商標は、「VIVO」のみで構成されており、関連する商品・サービスに関して特別な意味合いを持たないため、より高度な固有の識別力を有すると判断された。

 出願人は自社の世界的なプレゼンスに関連する情報を提供したが、カナダにおける出願人商標の使用、広告またはプロモーションの証拠は提出されず、出願人は商標がカナダでどの程度知られるようになったかを立証できなかった。

 異議申立人の証拠は、2014年(「VIVOSPORT」は2017年)以降、カナダにおける「VIVO」の登録商標の広範な使用を示すと考えられ、「VIVO」から成る登録商標がカナダである程度知られるようになったことを立証した。 

 全体的に、混同を評価するための固有の識別力の要素は出願人にやや有利であると考えられたが、後天的な識別力と使用期間の要素は異議申立人に有利であると考えられた。

 商品の性質の評価に関して、異議委員会は、GPS関連商品を含むスマートフォンなどの通信機器用アクセサリーを含むコンピュータ、コンピュータ関連部品およびアクセサリーを包含する出願人の商品と、関連商品の広告、宣伝および販売に関連する出願人のサービスを検討し、「携帯電話、携帯電話アクセサリー、コンピュータ、コンピュータソフトウェア、コンピュータ周辺機器および家庭用電気製品」の分野であると説明されているサービスは、異議申立人が事業を行っている分野である家庭用電気製品と密接に関連していると結論づけた。

 出願人の証拠は、他国では、その商品が専門的な取引経路、すなわち、公式ウェブサイトや「VIVO」スマートフォンのみを販売する「VIVO」正規小売店を通じて提供されており、カナダでも同じ取引経路が意図されていることを証明した。異議委員会は、スマートフォンの消費者はスマートフォンを購入する前に競合する技術を注意深く調査し、消費者は異議申立人の製品を購入する際にも注意を払うという出願人の追加的な主張を退けた。

 異議申立人は、異議申立人の商品は携帯電話やスマートフォンそのものではないが、ユーザーのスマートフォンやその他のモバイル機器と一体化して使用されることを意図した個人用電子機器(装着型の活動量計やスマートウォッチなど)であると主張した。そのため、異議委員会は、出願人の商品(及びそれら商品に関連するサービス)と相手方の登録商品との間にも同様に強いつながりがあると結論づけた。

 本願商標の出願には取引経路に関するそのような制限はなく、同様に異議申立人の登録にも取引経路に関する制限はないため、異議委員会は、願書に記載された項目と「出願人が現在行っていることではなく、登録によって出願人が権利化できるもの」に焦点を当てなければならないと結論づけた。

 商標間の類似度の評価に関して、異議委員会は、異議申立人の商標の第二の構成要素は、「外観と称呼において、本願商標と異議申立人の商標との類似度を無意味に下げるものではない」と結論付け、出願人の商標は、異議申立人の依拠商標の支配的で印象的な要素と同一であることから、高い類似性を共有しているとした。異議委員会はさらに、異議申立人商標の支配的な部分である「VIVO」が全体として本願商標として採用されたことにも言及した。

 周囲の事情について、本件において混同の虞を高めているのは、本願商標が「VIVO」商標のファミリーを構成しているからだとする異議申立人の主張を、異議委員会は支持した。

本文は こちら (Opposition/Cancellation Decision – Successful Opposition against VIVO mark on grounds of confusion)