2023-11-02

EU:マラドーナの漫画風イメージを商標出願、対する異議申立の行方は? - Knijiff Trademark Attorneys

 エル・ペルーサ(El Pelusa:縮れ髪)というニックネームですぐに思い浮かぶのは、世界最高のサッカー選手の一人マラドーナだろう。
マラドーナ(Maradona)が大きな魅力を持っていることは間違いなく、それゆえにブランド化されやすい。マラドーナの名声に便乗したい思う人は少なくないだろう。

 マラドーナの元弁護士もそう考えたに違いなく、元弁護士の名前で「Maradona」商標を登録した。おそらく、あなたも元弁護士からライセンスを購入できるだろう:ライセンス料を払えば、特定の商品に「Maradona」の名前を使用することができる。一つの上手い収益モデルだ。しかし他方、ライセンスはすべての商品で商標権を維持するためにも必要となることがよくある。なぜなら、登録された商標を5年以上使用しないと権利主張できなくなるからだ。

 最近、アラブ首長国連邦のある会社が、マラドーナの漫画風のイメージからなる商標をEUIPO(欧州連合知的財産庁)に出願した。画像の下に「Dieguito」の文字がある。この商標を出願した会社は元弁護士の商標権を回避できると考えたのだろう。しかし、元弁護士は「Maradona」の商標権に基づいて異議申立を行った。

 

この異議申立では、商標法上2つの興味深い問題がある;
問題1:使用義務のある「Maradona」商標は使用されていたのか、使用されていたならその商品・サービスは何か。(もし元弁護士が使用を立証できなければ、異議申立はこの理由で却下される)。
問題2:「Dieguito」と「Maradona」は外観的にも称呼的にも類似していないが、観念のみ類似は混同のおそれとして十分か?通常、そうはならない(犬のロゴと他の犬のロゴの間に外観的類似性がない場合、犬のロゴが他の犬のロゴの商標登録を妨げることはできない。つまり、単に犬のロゴであるという事実だけでは十分ではない)。

 個人的には、「Maradona」商標が十分に使用されていることを願っている。なぜなら、問題2の答えの方がずっと関心をそそられるからだ。=つづく=

本文は こちら (‘El Pelusa’ turns prickly)