勝利が必ずしも成功の秘訣とは限らない。
戦術的敗北と表現した方が正確なほど、高い代償を払った勝利もある。古典に詳しい人なら、「ピュロスの勝利」という言葉を聞いたことがあるだろう。ピュロス王は戦いでローマ軍を破ったが、あまりにも多くの兵を失ったので、その後、もう一度ローマ軍に勝利したら、我々は壊滅するだろうと叫んだと言われている。(注:このことから、払った犠牲と勝利して得たものが釣り合わないこと、割に合わない勝利のことをピュロスの勝利と呼ぶようになった。)
ヨーロッパに50以上のホリデーパークを所有するEuroparcsは最近、「Europarcs」ロゴの欧州商標の登録に対して、商標「Europarque」を根拠としてポルトガル企業から申し立てられた異議に勝利した。
欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、「Europarcs」商標と「Europarque」商標の間にある程度の外観および称呼の類似性を認めた。欧州商標庁はこれらの単語に識別力があるとは考えていなかったため、類似度はあまり高くないとした:「Euro」は「European:欧州」を意味する一般的な用語であり、「Parque(ポルトガル語の「公園」)」と「Parc(フランス語の「公園」)」は共に公園を意味する。文字が記述的であるため、図形要素がより大きな役割を果たした。図形要素が異なることから、2つの商標の類似度は中程度とみなされた。
このような結論に至るまで、EUIPOは、混同の虞があるかどうかという問題に答えるために、あらゆる側面から検討を行った。この過程で、問題の商標の識別力が評価された。「Euro」の要素は完全に記述的であり、「Parcs/Parque」の識別力は弱い。EUIPOは古い判決を引用し、商標法は誰もが一般的な用語を使用できるようにするため、当事者が一般的な用語を権利主張することを意図していないと述べ、図形やその他の相違点を考慮し、混同の虞は低いとの判断を示し、異議申立を認めなかった。
欧州商標「Europarcs」にゴーサインが出されたが、記述的な商標だとするEUIPOによる評価は、「Europarcs」商標にも適用されるため、この決定により「Europarcs」商標の保護範囲も狭められたことになる。