2024-01-19

EU:模倣品によりEUの産業は年間数十億ユーロと数千人の雇用を失っている ― EUIPO

 欧州連合(EU)では、模倣品によって衣料品、化粧品、玩具業界だけで毎年160億ユーロ(約2兆6000億円)の売上と2万人近い雇用を失い続けているとして、模倣品対策が喫緊の問題になってきている。これは、欧州連合知的財産庁(EUIPO)による調査で明らかになったもので、模倣品がこれらの分野に与える経済的影響の大きさと、消費者への健康・安全上の深刻な問題が浮き彫りになった。 

衣料品、化粧品、玩具産業における模倣品の驚くべき影響
 衣料品業界はこの違法行為の矢面に立たされており、年間売上高で120億ユーロ近くを失い、これは同業界全体の売上高の5.2%に相当する。化粧品業界と玩具業界も深刻な影響を受けており、それぞれ30億ユーロ(売上高の4.8%)と10億ユーロ(売上高の8.7%)の損失を被っている。
 2018年から2021年のデータを用いた調査では、模倣品は売上に影響を与えるだけでなく、大幅な雇用損失にもつながることが分かった。衣料品業界だけでも推定16万人の雇用が減少し、化粧品業界では3万2,000人、玩具業界では3,600人の雇用を失ったことになる。
 これらの業界において、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリアが最も大きな損失を被り、正規品の売上が80億ユーロ近く減少した。

安全衛生、犯罪、環境に対する模倣品の広範な影響
 経済的損失や雇用への影響に加え、模倣品は組織犯罪を助長し、法の支配に対する信頼を損ない、環境に悪影響を及ぼすと報告書は指摘している。さらに、化粧品や玩具の分野での模倣品は、消費者の健康と安全に対して重大なリスクをもたらしている。2022年のEUIPOによる知的財産犯罪の脅威評価によれば、EU域内の国境で押収された模倣品の15%は有害な製品であった。

模倣品対策に対する欧州の多面的アプローチ
 模倣品対策に対するEUIPOの包括的アプローチには、欧州刑事警察機構(EUROPOL)、欧州不正対策局(OLAF)、欧州委員会との協力が含まれる。これら機関による取り組みは、知的財産権犯罪と他の重大な犯罪活動との相互関連性に重点を置きながら、EU域内における模倣品の特定と排除に焦点を当てている。

本文は こちら (Counterfeit goods cost EU industries billions of euros and thousands of jobs annually)