[商標分野]
1. 商標コンセント制度導入(2024年5月1日施行)
* 先出願/先登録商標との類似を理由に出願が拒絶された場合、先出願人または先登録商標権者から同意書を得れば出願商標を登録することが可能になった。
* 制度導入前に出願された商標に対しても適用されるため、拒絶された出願も2024年5月1日以降に同意書を提出すれば拒絶を克服できることになる。
* 韓国は完全型コンセント制度であるため韓国特許庁は同意書が提出されれば商標登録を認める。
* ただし同一商標/同一指定商品に対してはコンセント制度が適用されず拒絶される。
* 同意書を通じて登録された商標間に誤認混同が発生した場合には商標登録を取消すことができる。
* 先出願/先登録商標との抵触以外の拒絶理由がある場合には別途に克服しなければならない。
2. 国際商標登録出願および国際登録基礎商標権に対する分割出願ないし商標権分割が可能に(2024年5月1日施行)
3. 国内登録商標の指定商品が国際登録商標の指定商品のうち一部だけを含む場合にも部分代替可能に(2024年5月1日施行)
4. 変更出願に対しては再度の優先権主張/優先権書類提出は不要(2024年5月1日施行)
5. 商品類似基準も一部変更され、例えば「スポーツ衣類」(G430301)に属する商品を「スポーツ専用衣類」(G430301)と「その他スポーツ一般衣類」(G430305)とに分け非類似商品と取扱うことにするなど一部類似群コード調整(2024年1月1日施行)
6. 商品分類表上の「メタバース」を「仮想環境」に変更(2024年1月1日施行)
7. 医療サービス業商標の類似判断観察基準を新たに整備(2024年1月1日施行)
[デザイン分野]
1. 関連デザイン出願可能期間が基本デザインの出願日から3年に延長(2023年12月21日施行)
ただし施行日以降に関連デザインを出願した時点で、すでに基本デザインの出願日から1年を過ぎているときは適用されない。
2. 新規性喪失の例外を主張できる時期に対する制限規定が撤廃され、出願人は登録決定前であればいつでも新規性喪失の例外の主張が可能になった。(2023年12月21日施行)
3. 優先権主張および優先権主張書類の提出期限を遵守できなかった場合でも、正当な理由があるときはそれぞれ2月の追加期間内に優先権主張および優先権書類提出が可能になった。正当な理由には自然災害による連絡途絶、急な病気による意識障害等のような場合が認められる。(2023年12月21日施行)
4. 優先権主張の補正および追加が出願後3月以内まで認められることになった。(2023年12月21日施行)
5. デザイン審査基準上の図面の陰影線に対する審査基準が例示図面上にて多少緩和された。また、実質的に同じデザインであってもこれを写真、コンピュータグラフィックスまたは線図によってそれぞれ表示した場合は同一ではない類似デザインとして取扱い、基本/関連デザインとしての指定が可能になった。さらに優先権主張の適法性に関する審査を大幅に緩和し、出願人の利便向上が図られた。(2023年12月21日施行)
[共通事項]
1. 優先審査(日本の早期審査に該当)の要件のうち、日本にはない韓国特有の要件のうちのひとつであった「外部専門調査機関による先行商標/デザイン調査」に基づく優先審査申請制度が廃止された。(2024年1月1日施行)
2. 審判請求書職権補正制度が導入され、請求書に軽微かつ明確な誤りがある場合は別途補正通知なしに審判長が職権補正後に通知することになった。(2024年3月15日施行)
3. 審判事件に参考人制度が導入され、産業界に及ぼす影響力が大きい事件において国家機関や地方自治体、公共団体など公的性格を有する専門家の意見を審判部が聴取することができるようになった。(2024年3月15日施行)
4. 韓国特許庁には知的財産権犯罪に対する捜査権限が付与されているが、従来の捜査範囲である特許・商標・デザインおよび不正競争防止法上の商品主体誤認混同行為、デッドコピー、営業秘密の取得・使用・漏洩行為などに加え、営業主体誤認混同行為、希釈化行為、データ保護措置無力化行為、および実用新案権が追加され、営業秘密の侵害行為全般に至るまで刑事取り締まりが可能なように韓国特許庁捜査部門の権限が拡大された。(2024年7月17日施行)