欧州連合(EU)で記述的な文字を商標登録するのに最小限の図形要素を加えるだけでよかった時代もあったが、そんな時代はとうの昔に終わった。
現在では、記述的な文字であればあるほど、強力な図形要素が必要だ。単純なフォントや基本的な形状では、記述的な文字に必要な識別力を与えるには不十分だ。
ソニーやダウ・エグバード(Douwe Egberts:オランダで有名なコーヒーブランド)が最近経験したように、文字を含まない図形商標も記述的(descriptive)とみなされることがある。
2つのハンドルと中央部分を持つゲームコントローラーからなるアイコンの図形商標は識別力があるか?EUIPO(欧州連合知的財産庁)は識別力があるとは判断しなかった。アイコンはゲームコントローラーの一般的な要素で構成されており、消費者にブランドを識別させるものは何もない。ゲームコントローラーに詳しい人であっても、形状があまりに基本的であるため、すぐにソニーのものであると識別したり、他のゲームコントローラーと区別したりすることはできないだろう。
ソニーは、消費者はこの標章に慣れ親しんでいると主張した。プレイステーション5用の新型コントローラーは、わずかに丸みを帯びているが、ソニーの他のコントローラーのデザインと同じ見慣れた特徴を持っている。ソニーは多くの消費者がこの標章に慣れ親しんでいると主張したが、EUIPOは消費者の間で顕著な認知度があることは重要ではないと判断した。もしそうであれば、ソニーは、このアイコンは使用を通じて識別力を獲得したと主張し、その証拠を提出すべきだった。
要するに、一般的なゲームコントローラーのアイコンは識別力がないのである。これは、ダウ・エグバードがコーヒーメーカーのアイコンを出願した際にも証明された。コーヒーメーカーの特徴は、ほとんどのコーヒーメーカーに見られる基本的な形状と大きく異なっていなかったため、このコーヒーブランドも拒絶査定を受けた。
本文は こちら (Descriptive icons prove a setback for Sony and Douwe Egberts)