2024-05-24

中国:AIアシスタントを呼出す音声コマンド(ウイクワード)の商標登録をめぐる不正競争事件 - 北京路浩

最高人民法院が発表した 2023年中国10大知識産権案件から〔浙江省温州市中級人民法院(2023)浙03民初423号民事判決書〕を紹介する。

【事実の概要】
 シャオミ科技有限公司は、2017年7月に、AIアシスタント搭載のスピーカーを発売した。スピーカーの AIアシスタントのウイクワードは、「小愛同学」である。その後、シャオミ社は、AIアシスタント搭載のスマートフォン、テレビなどの製品を発売した。陳某氏は、2017年8月―2020年6月、異なる区分に、計66件の「小愛同学」の商標の登録出願を行った。その後、陳某氏は、シャオミ科技有限公司とその関連企業に対し、「小愛同学」に対する商標権侵害を停止することを旨とする警告書を送信した。また、陳某氏は、深圳市の某会社と共同に、スマートウォッチや目覚まし時計などにて、「小愛同学」の商標を使用し、宣伝も行った。シャオミ社は、陳某氏と深圳市の某会社が不正競争行為をしたとし、訴訟を提起した。判決によれば、「小愛同学」は広く宣伝され、且つ使用された結果、一定の影響力をもつウイクワードであり、そして、AI エンジンと同 AI アシスタント搭載のスピーカーの商品名として、不正競争禁止法の保護対象となり得る。陳某氏は、「小愛同学」の商標の登録出願を大量に行い、シャオミ科技有限公司とその関連企業に対し警告書を送信する行為は、信義則に反し、市場の公平な秩序を乱すことになり、シャオミ社の法的利益を害し、不正競争禁止法第2条が禁止する不正競争行為に該当する。「小愛同学」の標章が付く商品を販売することと、誤解を招くような商業宣伝を行うことは、混同行為及び虚偽宣伝行為に該当する。よって、法廷は陳某氏と深圳市の某会社に対し、直ちに侵害を停止し、シャオミ社に120万人民元の損害賠償を支払うことを命じた。

【典型的意義】
 本件によって、一定の影響力をもつ AIエンジンと AIアシスタントのウイクワードも、不正競争禁止法の保護対象となり得ることが明確された。他人が開発する AIエンジンのウイクワードを商標登録出願し、濫用することは、不正競争禁止法が禁止する行為となる。AIエンジンのウイクワードを保護することは、イノベーション型企業のブラントを保護することとなる。

本文は こちら (路浩知財ニュースレター)