自然物に法人格を与えようという動きがある。
これは、意思決定が行われる際に自然を明示的に考慮することができる権利を自然物に付与し、さらには自然物のために権利行使をできるという考え方である。すでにスペインでは、マール・メノール(Mar Menor:ムルシア州南東部にあるラグーン)が法人格を獲得しており、オランダでは、政治家がリンブルフ(Limburg)州の丘陵景観に法人格を付与するためのロビー活動を開始した。
さらに最近では、国連博物館(Museum for the United Nations)がSounds Rightという取組みを立ち上げ、楽曲に自然音が使用されている場合、ミュージシャンに自然に対する権利を付与できるようにするものだ。例えば、デヴィッド・ボウイの「Get Real」という曲には、「David Bowie featuring NATURE」と書かれている。そして、SpotifyやApple Musicから得られる利益は自然保護のために使われる。これは魅力的な取り組みだが、アーティストの善意に依存している。カメラマンからカメラを盗んで自撮りした有名なサルの事件で学んだように、動物や自然地域が著作権者になることはない。
興味深いのは、動物や自然地域が法人格を持っているかどうかで、何か違いがあるのかということだ。原則として、答えは「ノー」である。猿の自撮り写真で猿に著作権を認められるかどうかの判断は、人間によって行われた創作活動のみが著作権の対象となるという評価基準に基づいている。しかし、この基準は商標法には当てはまらない。動物や自然物が法人であれば、法人として商標を出願し、商標権を取得することができることになる。
地域の名称に識別力があるかどうかはさておき(多くはロッキー山脈やアルデンヌ地方のように地理的名称になるだろうが)、問題は、商標がどのような商品やサービスに使用されるかということである。結局のところ、商標は商品やサービスを他の企業や個人のものと区別するために使われるのだから、例えばロッキー山脈のオフィシャルグッズは、その収益が自然保護に使われるという前提で販売されることが想像できる。誰があるいは何が商標の使用を許可されるのかを決定するためには、やはり人間による監督が必要だ。
結局、自然物には人間が必要なのだ。自然物の代理人はあなた……これは面白い。