「トランプと訴訟」、よく聞くフレーズだ。しかし、目新しいのは、米国の前大統領トランプ氏が今、自身のブランド「トランプ(TRUMP)」をめぐってヨーロッパで商標紛争に巻き込まれたことだ。
「TRUMP」ブランドは、世界中のさまざまな主要都市に高級ホテル、住宅タワー、ゴルフコースを展開しており、ヨーロッパでは特にアイルランドと英国で事業を展開している。DTTM Operations LLCは、知的財産を含む「TRUMP」ブランドの管理・保護に責任を負う事業体である。
DTTM Operations LLCは、コンドーム、ビール、スパークリングワインという奇妙な組み合わせの商品を指定する「TRUMP」という商標の欧州商標出願に対して異議申し立てを行った。この異議申立は、先行して登録されたホテル、レストラン、ゴルフサービスの「Trump」商標を根拠にしたものだ。
異議申立を受けた「TRUMP」商標の出願人は、トランプ氏同様あらゆる手段を講じている。
トランプ氏がまず証明しなければならないのは、商標の使用である。トランプ氏にとって不運なことに、英国はブレグジット(Brexit)後、この異議申立にはもはや無関係だ。残るはアイルランドだが、EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、相当数の使用証拠をすべて検討した上で、ホテル、レストラン、ゴルフコースでの使用は確かにあると結論づけた。
トランプ氏はまた、「TRUMP」商標はよく知られており、それゆえより広範な保護に値すると主張した。ここからが興味深いところだ。トランプ氏自身が世界的に有名であることは間違いない。しかしながら、EUでトランプ氏のブランドはホテルやゴルフ場としてよく知られているとはいえない。EUIPOによれば、その証拠はあまりにも弱いものだ。
混同のおそれがある場合、トランプ氏は類似の商品やサービスに対して同一の商標を使用することができる。コンドームはおそらくトランプ・ホテルでも入手可能であろうが、ホテルのサービスとは類似していない。したがって、混同は生じず、コンドームに関する異議申立は不成立となった。ビールとスパークリングワインについては、「TRUMP」ブランドが登録されている飲食サービスで使用されているため、異議を認められた。
EUでは、「TRUMP」ブランドは有名ブランドではなく、もうすぐコンドームとしてお目見えするかもしれない!