2024年6月24日、ベトナムの国会は人民裁判所組織法(Law on Organization of People’s Courts:LOPC)の重要な修正案を承認したことで、専門裁判所、特に知的財産(IP)裁判所の設置の準備が整った。この法改正は、複雑な知的財産紛争の増加に対応し、ベトナムが国際的な義務を果たすためのものである。
IP裁判所は、初審レベルでその管轄下にある知財紛争を処理する。控訴手続きは各高等人民裁判所に委ねられるため、そこにも知財部門が設けられる可能性もある。
現在、ベトナムの県級(省級)人民裁判所と高等人民裁判所の専門化は行われておらず、IP法など特定の法律について適切な裁判官教育に課題が残った。これにより、一貫性のない判決や事件の長期化がしばしば生じている。専門化されたIP裁判所の設置により、適切な専門知識を持つ裁判官がIP案件を扱うことで、より一貫性のある判決が期待できる。
IP紛争の解決が効率化すると期待されるIP裁判所の設置により、複雑なIP案件を対象とする専用のプラットフォームが提供されることで、バックログの削減や迅速な解決につながる可能性がある。この動きはまた、裁判官や裁判所職員の専門能力向上に向けた一歩であり、裁判官や裁判所職員がIP法の微妙なニュアンスに精通することを担保するものだ。
さらに、専門化された裁判所の設置は、権利者が訴訟を促進することを奨励する効果も期待される。
IP裁判所の設置はまた、新世代の自由貿易協定によって課せられた知的財産権保護の国際的な義務の実施に向けたベトナムの取り組みを象徴している。
IP裁判所の設置に向けた準備は現在進行中で、特にハノイでは裁判官の任命が進められている。2025年1月1日以降にIP裁判所を稼働させる予定で、最高人民裁判所は新制度への円滑な移行を監督している。
Source: www.rouse.com