2024-07-17

自分ブランドを構築したい人のための権利化のすすめ - Novagraaf

 セレブやインフルエンサーは、今や自分自身が「ブランド」となっているが、自分の名前や個性からブランドを構築することはリスクと無縁ではないと、商標弁護士のローラ・モーリッシュが解説する。 

 ソーシャルメディアのインフルエンサーは、オンラインで莫大なお金を稼ぐことができる。しかし、多くの人はブランドを立ち上げる際に、自分の名前をブランド名として使用することが知的財産にどう影響するかを考慮していないことが多い。
ブランド名、ソーシャルメディアのハンドルネームなど、前もって関連する権利を検討し、リスクを明らかにするために時間をかけることは、投資を保護し後々の収益化に役立つはずだ。

はじめに
 最初にブランド名を検討する際には、それが自分の名前であっても採用した名前であっても、使用を予定する全てのプラットフォームで使用可能かどうかを調べるとともに、商標登録簿を調べ、自分の関心のある分野で先行して登録された権利を侵害しないことを確認する必要がある。

 理想的には、全てのソーシャルメディアのハンドルネームは、自分の商標やブランド名と一致し、整合している必要がある。そうすることで、自分の名前や商標の評判を強化し、明確に定義されたブランドを作ることができ、プラットフォームでフォロワーとつながりやすくなる。 

何を保護できるのか?
 自分の名前を商標登録することで、自分の名前を権利化する有名人やインフルエンサーが増えている。
 例えば、テイラー・スウィフトは自身の名前を商標登録しているが、ビヨンセ、リアーナ、ヴィクトリア・ベッカム、ジャスティン・ビーバー、ケイティ・ペリー、カイリー・ジェンナーも同様である。また、有名人だけでなく、ソーシャルメディアのインフルエンサー、YouTuber、ブロガーも、自分の名前を権利化することの価値に気づいており、英国で登録されている人の中には、Zoella、Mother Pukka、Marcus Butler、LAD Bibleなどがいる。
 しかし、自分の名前について商標を出願する際の課題は、保護を求める商品・サービスを特定する必要があり、特にブランドを立ち上げたばかりの場合には、権利化が簡単ではない場合もある。

 また有名人の場合、ライセンス供与の観点からライセンスする可能性のある商品分野や、自分のビジネスや評判が焦点を当てている分野(例:音楽制作、衣料品など)を含めることが適切であろう。

パッシングオフ(詐称通用)
 英国では、パッシングオフも保護の対象となり得る。登録商標や登録意匠とは異なり、パッシングオフによる保護は、商標やイメージそのものだけでなく、元となる出所のグッドウィルも保護することができる。
 このコモンロー上の不法行為は、有名人や著名なインフルエンサーが、特定の製品、サービス、ブランドを支持したという虚偽の表示を防ぐために利用することができる。このような訴えを提起するには、有名人の名前に十分なグッドウィルが必要で、通常、その有名人が以前に同様の種類の推奨活動に自分の名前、画像、肖像を使用したことがあるという証拠によって示される。

本物であることの証明
 氏名の商標権保護を求めた場合、商標権の侵害やなりすましを避けるため、ソーシャルメディア・プラットフォームの監視に努める必要がある。

 ほとんどのソーシャルメディア・プラットフォームは、公式アカウントに小さな青いチェックマークを付与するなどの検証プロセスを開発しているが、これはプラットフォームでなりすましが横行し、第三者が偽アカウントを作成し、有名人やインフルエンサーであるかのように装い、ファンや消費者の混乱を招いていることに対応するためだ。

 ソーシャルメディアのアカウントは無料で簡単に開設できるため、公式ページが設置されていても、潜在的な侵害者やスクワッターは、偽アカウントや偽ユーザーネームの作成、名前の不正な登録・使用、商標や著作権の不正流用、侵害品や模倣品の販売によって、有名人やインフルエンサーが大きな損害を被る恐れがある。

 幸いなことに、ほとんどのソーシャルメディア・プラットフォームには、知的財産権とその所有者を保護するためのポリシーが設けられている。これらのポリシーは、すべてのユーザーが同意しなければならない利用規約の下で提供されており、ユーザーがこれらのポリシー条項に違反した場合、プラットフォームは侵害コンテンツを削除する措置を講じることができ、重大な違反者または繰返し違反する者に対して、ユーザー・アカウントを無効化または停止することができる。

 ソーシャルメディア・プラットフォームには、いくつかの種類の侵害(著作権や模倣品など)を検出するための内部措置があるが、こうした一般的な安全対策では、商標権者を偽装プロファイル(他人の名前やブランド、個人情報、写真などを不正に使用して作成された偽のアカウント)から保護できない場合がある。商標やブランドの所有者又はその代理人は、ソーシャルメディア・プラットフォームを注意深く監視し、常に問題のあるコンテンツやプロファイルを削除させるために適切な手段を講じることが重要だ。

要点
* ブランド名やソーシャルメディアのハンドルネームを慎重に選択し、保護可能な強力なブランドとプラットフォームで一貫したブランドイメージを作り上げる
* 早期の権利化:活動が多角化したときに他の分野に保護を拡大する
* 第三者の活動を注意深く監視し、ソーシャルメディア上の権利を積極的に行使する

本文は こちら (Celebrity trademarks: What to do if your brand is you)