中国最高裁判所は2024年6月24日午前に記者会見を開き、裁判所の最新の独占禁止に係る典型的判例を発表した。
今回発表された判例には三つの特徴がある。第一は、独占協議紛争と市場支配的地位の濫用を訴因とする二つの主なタイプの独占紛争を含み、内容が包括的であること。第二は、一般的な水平的独占協議とハブアンドスポーク型独占協議の認定と効力、知的財産権行使行為の競争排除・制限効果の認定、継続民事賠償訴訟における独占禁止行政処罰決定の証明力や損害賠償の認定など幅広い問題をカバーしていること。第三は、関連判例が業界内で広く注目され、このうち渉外判例は一定の国際的影響力を持つなど、影響力が大きいことである。
今回発表された典型的判例は以下のような司法政策の方向性を伝えている。第一に、独占協議の規制を厳格化し、市場競争の活力を効果的に保護する。「工業用潤滑油」に係るハブアンドスポーク協議案件において、ハブアンドスポーク協議の認定基準を明確にし、ブランドのサプライヤーと主な川下販売業者がハブアンドスポーク協議を結び、同一ブランド内の競争を制限する行為に対して、否定的な評価を与えた。「交通信号制御機」に係る水平的独占協議案件において、同業他社を市場から追放することを主な目的と基本内容とする協議は全て無効であると認定し、独占禁止法に違反した場合の契約無効の範囲を明確にした。第二に、法に基づいて知的財産権の合法的な行使と権利濫用による競争の排除・制限の境界線を定め、イノベーションの奨励と公平競争の保護のバランスを実現した。「希土類永久磁石材料」に係る市場支配的地位の濫用案件において、知的財産権に係る関連技術市場の範囲と市場支配的地位の認定方法を明確にし、希土類永久磁石材料の生産に必須ではない特許のライセンスを拒否することは独占行為に該当しないと認定した。「デスロラタジン(Desloratadine)原薬(API)」に係る市場支配的地位の濫用案件において、専利権行使の際の限定取引と超高価格設定についての分析方法を明確にし、法に基づく特定の専利権の正当な行使による必然的な結果は独占禁止法上の競争排除・制限効果に該当しないと特別に強調した。独占的な高価の分析については、市場競争状況とイノベーションのリスクを考慮し、専利権者の法に依る合理的な収益を保証し、イノベーションの意欲を保障しなければならない。第三に、行政法執行と司法の連携メカニズムを改善し、公平な競争秩序を共同で保護した。「自動車販売」に係る垂直的独占協議案件において、独占禁止行政処罰が決定された後に生じた関連民事賠償案件における挙証責任の所在を明確にし、原告の挙証負担を軽減した。
独占禁止に係るこの5件の典型的判例は改正前の独占禁止法と旧司法解釈に該当するものであるが、いずれも新たな独占禁止に係る民事訴訟司法解釈の起草の事務的基礎であり、改正後の独占禁止法とその解釈の趣旨に則したものであるため、改正後の独占禁止法と新たな司法解釈を正確に理解し、適用する上で重要な参考となる。
(中国最高裁判所公式サイトから翻訳)
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