2024-08-28

韓国:“YESジャパン”旋風、韓国で日本製品の人気上昇 - Kim & Chang

韓国では5年前、日本製品不買運動、いわゆる“ノージャパン(No Japan)”の勢いが盛んであったが、一転して現在は“イエスジャパン(Yes Japan)”旋風が巻き起こり日本製品の需要が急増している。このような変化は主に円安とエンデミックが重なることで日本への旅行者が増加し、日本製品に対する認識が肯定的に変化したことから始まったと分析されている。日本の新聞通信調査会による2023年末の世論調査では、「日本に好感がある」と答えた韓国人の割合が44%で2015年の調査以来最高値となり、日本政府観光局(JNTO)の発表によると2024年上半期に日本を訪れた韓国人は444万人で訪日外国人のうち首位を占めたが、この傾向が下半期にも続くなら韓国成人人口(15~64才、約3632万人)の約24%に達する数値となる。このような雰囲気は以下のような最近の韓国のマスコミ報道からも容易に窺い知ることができる。

*大谷シャツもコンビニの日本菓子も売切れ続出… 今は“イエスジャパン”旋風 (朝鮮日報、2024. 4. 1) [1]
*“もう人目は気にしません”…YESジャパンに酒・サンリオ“好きです” (毎経ヘルス、2024. 2. 26) [2]
*“ノージャパン終わった”…流通街に拡散する“イエスジャパン” (毎日日報、2024. 4. 9) [3]
*コンビニから個人輸入まで、再び“YESジャパン” (ヘラルド経済、2024. 3. 29) [4]
*誰も彼もが日本に旅行したら…“驚くべき記録”が現れた(韓国経済、2024. 7. 19) [5]
*『青い珊瑚礁』『ギンギラギンにさりげなく』…80年代の日本ヒット曲に国内ファンはまった(聯合ニュース、2024. 7. 3) [6]

これに伴い、旅行の際に日本製品に接した韓国の消費者は韓国国内でも同じ商品を買い求めるようになり、自然と日本製品の個人輸入代行の利用拡大や韓国国内での日本製品の購入につながっている。

韓国統計庁によると、2024年第二四半期のオンラインを通じた日本商品個人輸入額は1,346億ウォン(約147億円)で、2023年同期比16.4%増加したことが明らかになった。

 

韓国国内での消費をみても、日本の某SPAブランドの場合、2023年の売上が前年比30.8%増加したほか、某総合家具流通ブランドは2023年に国内1号店を出店後、3ヶ月後には2号店をオープンし、2024年中に10店舗まで拡大する計画と報道されている。

なかでも特に消費財として日常生活で身近な飲料・食品において、酒類をみると、2023年の日本ビールの輸入額は前年比283.3%急増し、2018年以降5年ぶりに外国産輸入ビール首位となり、日本ウイスキーはノージャパン運動拡散前である2018年の輸入額の7.6倍、日本酒の輸入額は2,138万ドルで統計開始以来の最高値を記録した。一方、韓国国内で約1万4,000店の店舗を確保したと報道されているセブンイレブンでは日本から直輸入した菓子Rの販売量が50万個以上にのぼり、日本の人気生チョコレートHは発売後10日で10万個を記録した。また韓国でも人気が高い大谷翔平選手を起用した緑茶製品の超大型広告がソウル中心の光化門(クァンファムン)のビル壁面に掲示されるなど、その人気を実感させた。[7]

 

このように現在韓国では衣類から食品に至る広い分野で多様な日本製品が人気を博しており、今後もその傾向は続くと予想される。しかしこのような日本製品の人気に乗じて模倣商標が出現したり、商標出願が先占される可能性も高いだけでなく、日本では当然誰もが使用できる商標であっても韓国では商標登録が可能なケースもあることから [8] 、日本企業としては自社製品とブランドを保護するために韓国での商標権確保など法的保護対策を盤石にしておく重要性がより一層高まっているといえる。さらに現在韓国では審査滞積などにより商標出願から登録まで平均14ヶ月を要しているという点にも留意が必要である。

[1] https://www.chosun.com/economy/market_trend/2024/04/01/XGSD4UOFANA3TMFAFYRL7ELMUY/
[2] https://www.mkhealth.co.kr/news/articleView.html?idxno=67423
[3] https://www.m-i.kr/news/articleView.html?idxno=1109595
[4] https://biz.heraldcorp.com/view.php?ud=20240329050186
[5] https://www.hankyung.com/article/2024071953817
[6] https://www.yna.co.kr/view/AKR20240703012400005
[7] http://m.journalist.or.kr/m/m_article.html?no=55994
[8] 韓国ではアイスクリームに対し「(白くま)」は登録商標である。