最近韓国では、商標権侵害品の流通経路がオフラインからSNSライブ放送販売などの新しい形態でのオンライン流通に移行しつつある。このような動きに合わせ、韓国税関では2024年上半期から輸入段階だけでなく国内販売段階においても侵害品の流通を遮断するための活動を強化しはじめた。
SNSライブ放送を通じて流通された侵害品に対する税関の取り締まり事例
今年上半期、SNSライブ放送を通じて堂々と侵害品販売を行った侵害者が検挙された。侵害者はライブ放送に出演し侵害品を紹介するセーラーをアルバイトで募集した後、TikTok等を通じて侵害品を販売した。侵害者は取り締まりを避けるために故意に偽造品と正規品を取り混ぜて販売・配送したが、侵害品が保管されていた国内秘密倉庫で押収された侵害品は21,938点(市価30億ウォン相当)にのぼった。また類似する方法でSNSライブ放送を通じて10,565点(市価15億ウォン相当)の侵害品を販売した別の侵害者も検挙された(2024年7月25日付 仁川税関報道資料)。
中国Eコマース侵害品に対する集中取り締まり事例
中国と地理的に隣接している仁川税関では、4月22日から8週間、海上国際配送貨物に対する集中取り締まりを実施し、4万9,487点(前年比30%増)の偽造品輸入を摘発した。
さらに仁川港にとどまらず、中国からの国際配送貨物が主に搬入される、中国と隣接する西側地域の仁川空港・平沢港・群山港などの近隣税関とも関連情報を共有し、仁川港で輸入が遮断された侵害品の迂回搬入にも先手を打って対応する計画であることを明らかにした。特に人体の健康に密接な関連がある成分不明の子ども用品、化粧品、食器類などの侵害品に対してはより集中的に、引き続き強力な取り締まりを行う予定であるとしている(2024年7月23日付 仁川税関報道資料)。
仁川税関は侵害品販売者に対する自主取り締まり以外にも、TikTokやFacebookなどのグローバルSNS運営企業に対し偽造商品販売に使われたアカウントの遮断要請などの積極的措置を取る一方、偽造品販売などの不法行為に関する情報提供者への報奨金支払い等を通して一般消費者の参加度を高め取り締まりの実効性向上を図っている。
一方、韓国では「イエス ジャパン(Yes Japan)」の風潮の高まりを受けて日本製品の需要が急増し、日本製品の個人輸入が増えているだけでなく中国を介した輸入代行も爆発的に増加している状況で、侵害品輸入も増加傾向にある。
※当所では税関および侵害対応のための専門チームを運営し、韓国税関およびその他執行当局との多くの協力経験を基に、顧客の知識財産権侵害を防止するために効果的な対策をご提案できるよう最善を尽くしています。