先ごろ、集佳が代理人を務めた森科産品有限公司など(以下、「香港小黄鴨」という)と温州市某企業などによる商標権侵害紛争事件について、重慶市第一中級人民法院は一審判決を下し、香港小黄鴨の第8814480号「下図原告商標①」が2019年8月7日以前に、第8814488号「原告商標② 」商標が2019年9月17日以前に馳名商標(日本の著名商標に相当)であったことを認定した。さらに温州市某企業による保温マグボトル、茶碗などの商品への「G.DUCK」「下図被疑侵害標章③ 」「G.DUCKKIDS」「下図被疑侵害標章④」などの標章の使用は商標権侵害を構成するとして、権利侵害行為を停止し、430万元を賠償し、かつ『温州日報』に謝罪広告を掲載し、影響を取り除くことを命じる判決を下した。
事件の概要
香港小黄鴨の歴史は2001年まで遡ることができる。創設者の許夏林氏は2005年にイメージキャラクターのB.Duckを生み出し、B.Duckを特色とする消費財の小売事業を展開した。2020年、B.Duckが中国最大の独自のIPブランド(営業収入ベース)となった。B.DuckブランドはさらにLIMAアジアライセンシングアワード、玉猴賞などの業界で極めて影響力のある栄誉ある賞を受賞し、さらに広東省重点商標保護名簿に掲載され、極めて高い知名度を誇っている。
被告の温州市某企業は「弁当箱、水筒、コップ、スープジャー、保温容器」などの商品に「下図被疑侵害標章③」「下図被疑侵害標章⑤」「下図被疑侵害標章⑥」「下図被疑侵害標章⑦」「下図被疑侵害標章④」の標章を使用し、かつオフラインの実店舗、電子商取引プラットフォーム、セルフメディアプラットフォームなどのさまざまな方法を通じて宣伝、普及および販売活動を実施した。被告の上述の商標権侵害行為に対して、香港小黄鴨は2023年3月に重慶市第一中級人民法院に訴訟を提起した。
判決のポイント
1.原告の「上図原告商標①」「上図原告商標②」は被疑侵害標章の登録出願日以前にすでに馳名商標であった。
2.被告が保温マグボトル、茶碗などの商品に「上図被疑侵害標章③」「上図被疑侵害標章⑤」などの標章を使用したことは、容易に関連公衆の誤認・混同を生じさせるとともに、商標の希釈化を招き、原告の馳名商標の専用権を侵害する。
3.懲罰的要素を有する法定損害賠償制度を適用して損害賠償額を決定する。
事件の意義
本件を通じて、集佳は香港小黄鴨の「上図原告商標①」「上図原告商標②」について初の馳名商標の司法認定の実現に協力した。また、本件は知的財産権という手段をどのように積極的に運用して国産のオリジナルIPを保護するかを十分に示し、日々盛んに成長を続ける中国のその他のIPブランドの権益保護にとって有益な参考事例となった。
本文は こちら (集佳が香港小黄鴨の代理人として、「B.Duck」などの商標の初の馳名商標認定に協力し、賠償金430万の判決を勝ち取る)