韓国では2024年5日1日付で商標共存同意制度が導入されてから5ヶ月が経過したが、先ごろ韓国特許庁より、同制度が導入直後から出願人らに好意をもって迎えられ軌道に乗りつつあるという発表があった。
商標共存同意制度とは、先登録(出願)商標の権利者の同意を得れば類似の後出願商標でもその登録を認める制度である。特許庁の統計によると、拒絶される商標出願の40%以上が先登録(出願)との類似性によるもので、そのうちの約82%が中小企業および零細事業者による出願商標であるが、それらの商標登録の可能性を高めるとともに、これまで共存登録のためにはアサインバックなどの迂迴的方法を利用しなければならなかった不便性を解消する一方、すでに海外の様々な国で運用中の制度として国際的傾向とも軌を一にする観点から韓国でも同意書制度を導入するに至った。
特許庁によれば同制度施行後4ヶ月で447件もの共存同意申請があり、そのうち企業‐企業間の共存同意申請が321件(72%)で最も多く、次いで個人‐企業間70件(16%)、企業‐個人間36件(8%)、個人‐個人間20件(4%)の順であった。
同意書受付時の審査状態をみると、審査待機(意見書提出など)217件(49%)、出願公告185件(41%)、登録決定34件(8%)、そして審判段階(拒絶決定不服審判)6件(1%)の順に集計され、商標出願から審査、審判にわたる多様な段階で同意書が活用されていることが明らかになった。
韓国と時期を同じくして今年4月1日付で同意書制度を導入した日本の場合は、施行日以降の出願から改正法が適用されるのに対し、韓国では経過規定を設け、施行日前の出願でも施行以後に登録可否が決定される出願であれば同意書提出を通した対応が可能であるため、施行後4ヶ月で400件を超す利用実績をあげることができたものとみられる。
このように韓国の商標共存同意制度は開始から上々の反応を得て活発に活用されていると評価できる。今後同制度が実務上どのように運用され定着していくか引き続きモニタリングし、有用な情報があればご案内していきたい。