2024-10-22

EU:ヒュンダイは車だけじゃない - Knijff Trademark Attorneys

「Hyundai(ヒュンダイ)」は自動車のブランドとしてよく知られているかだろうが、ヒュンダイ・テクノロジー(Hyundai Technology)、ヒュンダイ・モーター・カンパニー(Hyundai Motor Company)、HDヒュンダイ・カンパニー(HD Hyundai Co.)もあることはご存知だろうか。

ヒュンダイ・テクノロジーはプエルトリコにあり、他の2社は韓国にある。
ヒュンダイ・テクノロジーは、韓国の2社が出願したコンピュータ・モニターやコンピュータ・システムを指定した文字商標「Hyundai」に対して、欧州とドイツで先行する同一商標を根拠に異議申立を行った。

先行する商標の使用
 ヒュンダイ・テクノロジーが先行する商標を使用していたことを立証するための証拠は限られていたが、EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、この商標が過去5年間に欧州連合とドイツで使用されていたことを確認するのに十分な証拠があると判断した。商標の使用を立証する証拠が不十分であると判断された場合、異議申立は認められなかったと思われるので、使用の問題を克服することは重要なことであった。

2つの異議申立理由
 ヒュンダイ・テクノロジーが主張した異議申立理由は2つあり、1つは異議を申立てた出願商標が先行する自社の商標と同一であり、先行する商標が指定した商品と同一であること。2つ目は、出願商標はヒュンダイ・テクノロジーの商標と同一または類似しており、混同の虞があるという主張だ。

コンピュータ・モニターやパーソナル・コンピュータといった出願人の製品のいくつかは、グローバル・ネットワークでデータを表示するためのモニターを含む係争商品と同一であるとみなされた。これらの製品は同じ機能を持ち、ターゲットとなるユーザーが同じで、流通経路も同じだからだ。 

同一商標
 「Hyundai」という商標(ヒュンダイ・テクノロジーの商標)と出願された「HYUNDAI」という文字商標の評価については、両商標とも「Hyundai」という文字のみから構成されており、同一であると考えられるため問題は簡単だ。指定商品の一部も同一であることから異議申立は支持され、同一の商品について商標登録は阻止された。これは、混同の立証は必要なく、商標と商品・サービスの同一性だけを立証すればよいものであったが、このようなケースは稀である。ほとんどの場合、商標は微妙に異なっており、このような理由に基づく請求が成功する可能性は低い。

 なお本件では、指定商品の一部が異なっていたため、第2の理由である混同の虞が主張された。異議申立は混同の虞を理由で部分的に成功した。類似する商品については、出願商標は混同の虞があるため、これらの商品についても登録は拒絶された。しかし、非類似と判断された商品については登録が認められるだろう。

このことは、同一商標は共存し得るが、それは指定する商品に関連性が認められない場合に限られることを示している。というわけで、近々「Hyundai」製品が市場に出回っても驚いてはいけない。

本文は こちら (Hyundai times three)