2024-11-21

フランス:架空の日付を含めると欺瞞的な商標となるか? - Novagraaf

ブランド名に架空の日付を使用することは、欺瞞的な商標といえるのだろうか?これは、現在進行中の「フォレ・ル・パージュ(Fauré Le Page)」事件におけるフランスの高等法院の付託を受けて、欧州司法裁判所(CJEU)が検討すべき問題であることを、Rose-Marie Ehannoが明らかにした。

 ブランドの長い歴史を消費者に思い出させることは、実績のあるマーケティング手法である。消費者は、長い歴史を持つことが優れた専門知識や品質の証と捉えることが多いからだ。記念日を祝ったり、創業日を伝えたりすることは、購買決定にプラスの影響を与え、企業が提供する商品やサービスの価格を引き上げることさえ可能にすることが示されている。

 しかし、企業がブランドに創業日を入れたいと考えた場合どうすればいいのだろうか。このような標章が商標として登録されるには、何か条件があるのだろうか。また、ブランド所有者が架空の日付を使用して商標登録しようとした場合はどうなるのか。そのような登録は「欺瞞的な商標」にあたるのだろうか。これらの疑問は、最近の「フォレ・ル・パージュ」事件で提起された。

欺瞞的な商標が争われた背景
 フランスの会社「メゾン・フォレ・ル・パージュ(Maison Fauré Le Page)」は1716年に設立され、1717年に最初の店舗を開き、1992年に解散するまで武器、弾薬、革小物を販売していた。2009年に、新たな会社「フォレ・ル・パージュ・パリ(Fauré Le Page Paris)」が誕生し、18世紀の同名の会社とは無関係に、高級革製品を販売するようになった。  

 2011年、フォレ・ル・パージュ・パリは、フランスで革製品などを指定して「Fauré Le Page Paris 1717」の文字とロゴを商標出願し、2件(3839809と3839811)とも無事に登録された。 

 2012年、競合するゴヤール・サントノレ(Goyard St-Honoré、以下「ゴヤール」)は、誤解を招く虞があるとして商標の取消しを求めた。ゴヤールの主張は、ブランド名に「1717年」という年号を加えることで、フォレ・ル・パージュ・パリが古くからある会社の後継者であるとアピールし、それによって消費者の心に、ゴヤールが持っていない何世紀にもわたる伝統や知識を持っているという印象を与えようとしているというものだ。

フランスの裁判所からCJEUへ
 この裁判は紆余曲折を経て、破毀院 (Court of Cassation)は当初、ゴヤールを支持し係争商標は製品やサービスの品質に関する場合だけでなく、所有会社の特徴に関しても誤解を招く虞があると判断した。特に高級品の場合にはその傾向が強くなるとした。

 しかし、出願人は(指定商品またはサービスの品質ではなく)所有者の属性に基づいて欺瞞的な商標であるとの判断を下されたとして、その決定を不服としてフランスの裁判所に控訴した。裁判所は2019年11月27日にEUIPO(欧州連合知的財産庁)取消部が審理した類似する欺瞞商標事件(第19646号)を引用し、取消申請を退けた。

 その結果、破毀院は、欺瞞的な商標における2008年10月22日付指令2008/95/ECの解釈に関する明確化をEU司法裁判所(CJEU)に付託した。この判決は数ヶ月以内で判断される見込みで、今後の類似する商標登録に影響を及ぼす可能性があることから、知的財産専門家はこの判決を注視している。

本文は こちら (Does including a fictitious date create a deceptive trademark?)