2024年9月30日、ベトナム科学技術省(Ministry of Science and Technology:MOST)は、2015年6月26日付通達第11号/2015/TT-BKHCNの一部条文を修正・補足する通達第06号/2024/TT-BKHCN(以下「通達第06号」)を発行した。これら2つの通達は、知的財産権における行政制裁に関する政令第99号/2013/ND-CPおよび政令第46号/2024/ND-CPに関する主要なガイダンスである。通達第06号は2024年11月15日に発効し、最近改正された知的財産法とその下位法との間の整合性を改善している。
通達第06号の注目すべき改正点の一部を以下に示す;
知的財産権保護表示の免除:通達第06号は、ベトナムにおける有効な知的財産権登録がない場合に、「®」マーク、「保護商標(protected trademark)」、「P」、「特許(Patent)」などの知的財産権保護表示の使用に関する違反の適応除外を規定している。例えば、ベトナムにおける商標の登録状況を明示するサブラベルを製品パッケージに付ければ、このような使用は虚偽表示とはみなされない可能性がある。通達第06号以前は、ベトナムの税関がこのような違反に対して輸入業者に罰則を科すことがあり、知的財産権者に迷惑をかけることもあった。知的財産権者は世界中で知的財産を登録することができないため、国際貿易を考えると、知的財産権の表示に対する制裁は妥当ではない。通達第06号に基づく新たな適応除外措置により、制裁の対象となるケースは減少する可能性がある。
書面による商標ライセンス契約:通達第06号では、商品または包装にライセンス商標を使用する場合、書面による商標ライセンス契約を締結することが義務付けられている。このような契約を結んでいない場合、政令第46/2024/ND-CP号第6条に基づく知的財産使用権の譲渡違反となる。通達第06号では、ライセンス商標の使用を許可する商標権者からの同意書、委任状、または同様の文書は、商標ライセンス契約とはみなされないため、制裁を回避するには不十分であると規定している。この規制が実際にどのように適用されるかを評価するのは時期尚早だが、明確化がなされなければ、通達第06号は機関によって異なる法解釈を導く可能性もあると考えられる。例えば、知的財産庁は、商標権者からの委任状ではベトナムにおける商標の合法的な使用を証明するには不十分であると見なし、不使用による商標の取り消しにつながる可能性がある。
ベトナムは知的財産保護の枠組みを強化し続けている。通達第06号は、ベトナムの知的財産権行使体制にいくつかの注目すべき変更を導入している。ベトナムで事業を展開する企業は、新規則の遵守を確実にするため、自社の知的財産戦略およびコンプライアンス慣行を見直す必要があるだろう。
本文は こちら (Vietnam Issues New Circular on Administrative Sanctions in Industrial Property)